月刊宝島で「SSRI(抗うつ剤)が原因か 多発する殺人事件の真相」という記事が出たと思ったら、厚生労働省医薬食品局の「お薬品・医療機器等安全情報」(No260)に、「三環系、四環系抗うつ薬等と攻撃性等について」という記事が掲載されました。

 それには以下の記述があります。

 症例の経過から傷害等の他害行為のあったもの又は傷害等の他害行為につながる可能性があったもの合計13件について因果関係を精査した結果,クロミプラミン塩酸塩,セチプチリンマレイン酸塩及びトラゾドン塩酸塩の副作用報告のうち,各1件について医薬品と他害行為との因果関係が否定できないと評価された。これら3件以外の副作用報告10件については,医薬品と他害行為との因果関係は不明又は併用されたSSRIによる影響が大きいと評価された。

 また,因果関係が否定できないと評価されたものを含め,因果関係を精査した副作用報告の多くが,躁うつ病患者や統合失調症患者のうつ症状等の併存障害を有する状況において,抗うつ薬を処方されたことにより,興奮,攻撃性,易刺激性等の症状を呈し,他害行為に至ったか,あるいはその併存障害の進展により他害行為が発生したことが疑われ,SSRI及びSNRIと同様の傾向が認められた。

 このようなことから,専門家による検討を踏まえ,これまでに「敵意/攻撃性」等の副作用報告が認められない成分も含めて三環系抗うつ薬,四環系抗うつ薬及びトラゾドン塩酸塩については,類似の薬理作用により抗うつ作用が得られていると考えられることから,SSRI及びSNRIと同様に使用上の注意を改訂し,注意喚起を行う必要があると評価された。一方,スルピリドについては,傷害等の他害行為のあったもの等を含め「敵意/攻撃性」等の副作用報告の集積が認められるものの,いずれも併用されたSSRIによる影響が大きいと考えられることから,現時点では新たな注意喚起を行わず,今後の副作用報告を注視することが妥当であると判断された。