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 ケータイを駆使する子ども、不安な大人 JPNews 09.07.24

 子どもと携帯電話(ケータイ)の関係について、大人たちは大きな不安を抱いています。子どもたちがケータイという道具を使って、友達とどのような会話をしているのか、あるいは、ケータイでインターネットをすることでどんな世界を覗いているのか。大人たちには想像ができないからです。

 文部科学省の調査では小学6年生で24.7%、中学2年生で45.9%、高校2年生で95.9%の子どもたちがケータイを所有しています。防犯・防災等の目的で保護者が持たせたとしても、子どもたちは大人の想像を超えるような使い方をするのではないか、という不安なのでしょう。

 22日、北海道文化放送の番組「佐藤のりゆきのトークDE北海道」に再び出ることになりました。この日の特集は、「夏休み直前!子どもを狙うインターネットの危険な世界」でした。前回のコラムでも取り上げた「実録・出会い系サイト売春」の時に、電話をしてきた視聴者(17歳、女性)のインタビューから始まりました。

 この女性は、中学1年のころ学校でいじめを受けていました。寂しさから同級生たちとは違う世界を求めて、出会い系サイトにアクセスしたり、テレフォンクラブ(テレクラ)に電話をしていました。それらで出会う男性たちは、彼女の悩みを聞いてくれたのです。同時に、これが援助交際を始めるきっかけになりました。

 何らかの悩みを抱えた中学生が出会い系サイトやテレクラを通じて援助交際をするというのは、私も何度も取材の場で聞いてきました。それだけ日常の人間関係で癒しの場がないのです。いじめなど学校で問題を抱えても、学校内に癒しの場があったり、学校外の人間関係が支えになっていれば援助交際をしなかったかもしれません。人間関係の稀薄さはこの女性だけの問題ではありません。

 また、今回も視聴者からの電話があり、生放送中に取り上げた中に、顔見知りの小学校5年生の女の子が、近所の公園のトイレから、30~40代のサラリーマン風の男性と一緒に出て来たのを目撃した、というものがありました。何をしていたのか話を聞こうとすると男性は逃げてしまったというのです。親には言わないことを条件に、女の子に話を聞いたところ、援助交際をしていたことがわかりました。そして、今回だけでなく週に2回しているというのです。視聴者の方は学校に通報し、女の子は学校で指導されたといいます。

こうした事例は後を断ちません。17歳の女性の証言では、買う側には同じ学校の教師がいたというのです。しかも「慣れた感じ」だった、とか。児童買春で逮捕される教師が目立ちますが、公務員や大企業の社員、ときには警察官さえ逮捕されています。多くの大人たちには、こうした「罪深き大人たち」とつながってしまうのではないか、という不安があるのでしょう。

 しかし、インターネットで誰かと出会うこと自体は、徐々に日常化されていきます。私が初めてインターネットを通じて人と出会ったのは1996年でした。当時はまだまだ非日常的な関係でした。今では、友達と呼べる人の中に、インターネットで知り合った人が何人かいるのも不思議ではありません。

 こうした流れは止められないと私は思います。だとすれば、インターネットで誰かと出会う場合、どんな注意をしなければならないのか、といったことを真剣に親子で話すことが求められるでしょう。いつまでも、「インターネットで知り合うのは危険だ。だから会わないこと」などと、出会い自体を禁止していても、インターネットの世界を渡り歩けないことになります。 

 子どもたちがどんなサイトにアクセスしているのか、インターネットを通じてどんなコミュニケーションをしているのかを保護者は知る必要があります。その上で、実際に会う場合、子どもの発達段階に応じて、「昼間に会う」「密室にならない場所で」「いつでも連絡がつく環境で」「なるべく1対1で会わない」「相手のことを保護者に知らせておく」など、ルールを作る必要があるのではないでしょうか。