てっちゃんの生きづらさオンライン@Ameba-未設定

  「謎解き、エヴァンゲリオン」 JPNews 09.07.03


 日本アニメの人気シリーズの映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 」が公開されました。公開2日で興行収入が5億円となるヒット作になっています。「新劇場版」は、テレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」(1995年10月から放送されたもので、全26話)、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版」(97年、98年)に続く、シリーズ作です。

 私も公開初日と三日目に2回も映画館に足を運んでいます。初日から新宿の映画館では予約で満席でした。そのため、レイトショーで観に行ったのですが、それでも、8割以上の席が埋まっていました。

 物語の設定は西暦2015年。その15年前に南極で起き、人類の半数を失った大災害・セカンドインパクト後の世界を描いています。その後、謎の敵である「使徒」が来襲し、国連の秘密組織「NERV(ネルフ)」が開発した汎用人型決戦兵器人造人間・エヴァンゲリオン(EVA)が対抗する、といった内容となっています。

 エヴァンゲリオンは、「使徒」とは何か、 EVAとはいったい何か 。なぜ14歳の少年少女たちがEVAの操縦をするのか。NERVを実質的に操っている組織ゼーレの目的・人類補完計画というのはどんなものか、といった謎が多くありました。謎解きの関連書籍も出されるなど、一大ブームを引き起こしました。

 テレビ放送のあった当時、私は長野県で新聞記者をしていて、学校現場などを取材していました。取材先でも話題になっていて、学校の先生たちと「エヴァ研究会」を作り、「このアニメが子ども達になぜ影響を与えるのか」などを話していました。映画が公開されると一緒に映画館に行ったりしました。

 95年といえば、日本では1月に阪神大震災が起き、3月には地下鉄サリン事件がありました。また、「劇場版」が公開された97年には、神戸連続児童殺傷事件で、「さあ、ゲームの始まりです」という犯行声明を出していた14歳の少年が逮捕されました。この時代の不安定さとリンクしていたように思います。

 アニメとストーリーとは別に、どのキャタクターが好きなのか、といった話にもなりました。特に、零号機のパイロット「綾波レイ」のキャラクターは有名になり、綾波のコスプレをする人たちも多く現れました。

 この綾波レイの存在も謎が多くあり、クローンでありながらも、魂がやどったのは一つで、魂は入れ替え可能ですが、記憶は引き継がれません。これは、「私」が絶対的に大切な存在ではなく、誰かと交換されても日常は変わらない「交換可能な人間」だという、若者の一部にある心象の風景を表していたとも言われています。これも、若者に支持された理由の一つだったことでしょう。

 しかし、使徒との決着はなしで、主人公「碇シンジ」の心理的な決着で終わったこと、人類補完計画の全容が明らかにならなかったことで、テレビアニメ版の25話、26話(いわゆる、最終2話)は特に反響を呼びました。「劇場版」は、その最終2話のやり直しで、「別の終わり方」を模索した結果でもありました。

 今回の「新劇場版」は、日本語の表記を「エヴァンゲリオン」から「「ヱヴァンゲリヲン」へ変えました。また、最終2話だけでなく、最初から「別の物語」を模索している内容になっています。そのため、新しいキャラクターも登場して、放送当初からのアニメファンを飽きさせません。また、テレビ版をリアルタイムに知らない新たなファンをも楽しませています。私自身、謎解きに夢中なのです。