警察庁は、08年の年間自殺者を発表しました。3万2249人。昨年より844人減少した。1998年以来11年連続で、年間自殺者3万人となった。例年6月に発表する統計だが、自殺対策基本法の精神をうけ、対策の参考にするために、早めに発表したようです。ちなみに、警察庁の発表は、自殺した人が亡くなった場所で都道府県別のデータとしているため、居住地別で統計をとっている厚生労働省の統計とは違っている。
警察庁発表 平成20年中の自殺者数について(確定値)
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<自殺者3万人超>不況、命をむしばむ 決算期に危機感
4月2日12時35分配信 毎日新聞
警察庁の08年の統計で自殺者がまた3万人を超えた。月別のデータでは、金融危機が深刻化した10月の自殺が最多になり、空前の不況の影響もうかがえる。今年に入っても自殺者は増加傾向で、関係者からは危機感もにじむ。
97年に山一証券が破綻(はたん)するなど、98年にかけての金融危機の時には、自殺者数は約35%も急増。以来、連続で3万人を超え高止まりの状況が
続く。特に同年3月は自殺者数が3265人(厚生労働省統計)で、前月より一気に約1000人増え、関係者に「98年3月ショック」と呼ばれる。
自殺対策に取り組むNPO法人「ライフリンク」(東京都千代田区)の清水康之代表は「決算期をむかえ、失業や倒産を迫られる人が増えるため、例年3~5月は自殺者が多い。経済悪化による自殺への影響がこれから深刻化する恐れがある」と指摘する。
「もう自殺するしかないと思って」
清水代表のもとに先月、思いつめた声で電話がかかってきた。
東北地方の40代後半の男性。3年前、詐欺にあって職を失い、今年1月には頼みの派遣先からも解雇された。多重債務の状態を妻に知られ、夫婦仲もこじれたという。「自分が死ねば生命保険が出る。死ぬ準備をしている」
最後の方は息が乱れ、言葉に詰まった。
うつの症状が疑われたため、精神保健福祉センターを紹介したが、雇用対策や借金返済の問題は別の窓口を探さなければならない。清水代表は「失業や多重債
務だけでなく、うつ病や家庭不和など複数の要因が重なっているケースが少なくない。ワンストップで支援できる仕組みが必要だ。運良く情報に接した人の命だ
けが救われるようなことがあってはならない」と訴える。
また、自殺問題に詳しい高橋祥友・防衛医大教授(精神医学)は「日本の自殺者は40~50代男性と高齢者に多いのが特徴。深刻な不況や高齢化の進行は、
自殺の危険が高い層を増やすことになり、自殺者を減らすのは容易ではない。中年男性や高齢者が孤立しがちな環境を変える対策が必要だ」と訴える。
景気悪化に伴う自殺者増加を懸念する厚労省は1月末、失業や生活苦などで相談に来た人に対し、関係機関が連携してメンタルヘルスを含めたきめ細かい応対をするよう、都道府県などに改めて通知した。【長野宏美、清水健二】
◇いのちの電話
日本いのちの電話連盟は10日、24時間の無料電話相談(0120・738・556)を実施する。午前8時から翌日午前8時まで、研修を受けたボラン
ティアが相談に応じる。匿名の相談も可能。全国各地には一般回線の「いのちの電話」もあり、電話番号の問い合わせは同連盟(03・3263・6165)。
■自殺者が増えた都道府県
(1)北海道 86人(1726人)
(2)長野 80人(598人)
(3)埼玉 68人(1653人)
(4)和歌山 34人(363人)
(5)富山 30人(331人)
■自殺者が減った都道府県
(1)兵庫 122人(1298人)
(2)大阪 113人(2128人)
(3)東京 106人(2941人)
(3)新潟 106人(1818人)
(5)茨城 105人(710人)
※カッコ内は総数