先日、東京地裁に行くと、偶然、渋谷区女子短大生バラバラ殺人の控訴審がありました。82席をめぐっての抽選でしたので、並んでみました。結果、定員内の77人が並んだのでした。そのため、抽選なし。

 弁護人が主張した主な論点は、

 1)精神鑑定の信用性

 2)捜査段階の上申書の信用性

 3)量刑の不当性

 でした。

 1)については、裁判所は「情状鑑定」だとしているが、責任能力を示すのに十分な鑑定だったと主張していました。

 また、被告は、アスペルガーと、解離性障害あるいは解離性同一性障害といったケースであり、考慮されるべき、とも言っていました。

 2)捜査段階の上申書の内容は、捜査官との共同作業によって作られたもので、誘導された可能性がある。捜査段階では、断片的な記憶があったのみで、記憶がストーリー化されていたのは、捜査官が、すでに得ていた情報を持っていたことによる暗示があったため。

 当時の記憶は、被害者を追いかけていたこと、追いかける途中被害者のおしりが見えたこと、デジタル時計が3分すぎたこと、朝起きると、内蔵が入ったバケツが部屋におかれていたこと、といったもので、すべてがつながっているわけではない。また、水槽に被害者をつけている行為の記憶がないなど、殺害や死体損壊のときの動機や感情を記憶していない。

 3)量刑の判断は、殺害動機が「被害者への憎悪」があり、「その延長」として行われた、ということが前提だった・しかし、被害者に憎悪を抱いていない。それが間違いだ、としている。

 一審では、被告人尋問を傍聴していましたが、たしかに、被告人は上の空で、アスペルガーっぽいような感じではありました。記憶も断片的だったことを証言していました。

 判決公判は4月28日午後1時30分から。

 このほか、二つの裁判を傍聴しました。ひとつは、準強制わいせつと脅迫の一審判決。

 カラオケ店で「なんらかの理由」で眠ってしまった被害者を自宅に連れ込んでわいせつ行為をした、というものでした。そのとき、写真や動画を撮っていて、

 「ビデオの件は言ってなかったね。次はブラウン管で会いましょう。お金儲けさせてもらうよ」

 などのメールをしたようです。

 ただ、会社を解雇されてたという社会的制裁を受けていることから、懲役2年6月。携帯電話とFOMAカードを没収、という判決でした。

 もうひとつは、新銀行東京を訴えている横山剛さんの裁判。職場でいじめを受けたとして損害賠償を求めている。実は、横山さんは、新銀行東京に秘密漏洩で訴えられています。新銀行東京の乱脈経営について、公共性、公益性の観点から、内部告発をしていたのです。そのため、この裁判は、事実上の反訴と言えるのでしょう。この日は、第一回口頭弁論で、次回からは論点を整理しながら、認否を分かりやすくしていくようです。