京都府舞鶴市の女子高生殺害事件で、京都府警舞鶴署捜査本部は、60歳の男を逮捕した。男は窃盗罪で服役中。これまでに家宅捜索が行われているが、有力な物証は得られていない。しかし、状況証拠などから逮捕に踏み切った。本人は事件への関与を否定している。



 物証がなく、本人は否定しつつも、状況証拠で逮捕。



 朝日新聞によると、
 
防犯カメラの映像の分析結果でも、男の体の特徴や、関係者が証言した男の事件当夜の服装が映像の人物とよく似ており、男が所持していた自転車の形状も映像と似ていたという


 とある。状況証拠というよりは、それすらなっていない感じがする。
のちの家宅捜索でも、
 
捜索は11月28日から6日間、計約40時間に及び、男の衣服や手袋、自転車など約2千点を押収したが、男と殺害事件とを結びつける直接的な物証は見つからなかったとみられる。

 とあり、物証はない。



 えん罪の典型的なパターンです。かつて、松本サリン事件(1994年6月27日)では、第一通報者が犯人視されましたが、逮捕されなかったため
に、反論の機会が与えられました。しかし、95年3月20日に地下鉄サリン事件が起きるまで、第一通報者は、警察から、また警察情報をソースにしている報
道からも、その報道を見た読者、視聴者からも、犯人扱いされました。



 この教訓は生きているのでしょうか。



 毎日新聞では、


 
司法関係者の間には、今回の逮捕には、裁判員制度との関係を指摘する声もある。制度が導入される5月21日以降に起訴されれば、有罪・無罪の判
断などに市民が加わる裁判員裁判で審理される。捜査当局には「状況証拠による立証は市民には理解してもらえない恐れがある」という声があったという。刑事
訴訟法で認められた、逮捕から起訴までの取り調べ期間は最大23日間。4月30日ごろの逮捕が、職業裁判官による公判を受けるための期限だった。それだけ
に、今後、本格化する中容疑者に対する調べが注目される

 と、今回なぜ逮捕を急いだのかの分析をしています。公判維持ができる状況ではないように思えますが、自供を引き出すことにかけた、と見えます。



 
憲法第38条第3項

 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。


 

 仮に、この男が犯人ではない場合あるいは犯人である有力な証拠がない場合、被害者および被害者遺族が救われないばかりか、あらたな被害者を生み出してしまいます。

 ちなみに、被害者の小杉美穂さんの「美穂」は、中山美穂からとった、とプロフには書いてありました。将来の夢についても、「歌を自由に歌って絵を書いて生きるとありましたが、かないませんでした。ご冥福をお祈りいたします。また、事件が解決することを願っております。
 
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