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高速道路の無料化で地方も大都市も豊かに 日経ビジネスより

この国には利権が渦巻いているのが良く解りますね。10倍のコストCostとは驚きですね。お金がどこに流れ着いているか解明して欲しいですね。

やはり高速道路無料化に反対する人たちは利権にしがみついている売国奴ですね。一掃して欲しいですね。

<転載開始>
高速道路の無料化で地方も大都市も豊かに
なぜ日本は英国に比べ10倍ものコストがかかるのか
山崎 養世 【プロフィール】
自動車 欧州 論点 無料化 政治 税金 高速道路
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 先週の「高速道路は無料にできる」に対して、これまでにも増して、沢山のご意見とご感想をいただき大変にありがとうございました。

 もう少し説明しなくてはいけないな、とも痛感いたしました。蛇足のそしりを甘受して補足いたします。

全国の高速道路を無料にする財源は十分ある

 高速道路無料化に対して歴代政権が浴びせてきた批判は、財源がないというものでした。でも、財源が十二分にあることは歴代政権自身が証明してくれました。

 まず小泉さんが言ったように、日本の道路財源は余っているはずです。日本では、自動車ユーザーから、消費税を含めると10種類もの税金を取っています。その額は年間9兆円にも達しますが、そのほとんどが一般道路を作ることに使われています。

 この額は英国、ドイツ、フランス、イタリアの道路予算の合計の2倍に達します。しかも、この上に、高速道路のユーザーからは年間2兆5000億円の通行料金を取っています。

 税金と通行料金を合計すると12兆円になります。消費税にも匹敵する額です。英国などは、年間1兆円近い予算で一般道路も高速道路も建設からメンテナンスまでやっているのですから、その10倍以上ものお金を日本は道路に使っているのです。あきれたものです。この巨大予算こそ道路の権力になっているわけです。

 しかも、自動車ユーザーが払う税金のうち、揮発油税や重量税など5種類の税金の合計年間2兆5000億円は、本来の税率に上乗せしている部分です。これが暫定税率の上乗せ分と言われるものですが、来年の3月に切れてしまいます。

 小泉さんは、この部分は道路と無関係のところにも使いたいと言いました。これが一般財源化と言われるものです。でもこれは、自動車ユーザーに還元するからと言って巨額の税金を取ってきたことと矛盾してしまいます。

 そこで、福田首相は、この上乗せ分を取り続けたい、そして、それを主に自動車ユーザーのために使いたいと言っています。

 それならば、上乗せ分の2兆5000億円のうち2兆円を財源に使えば、日本中のすべての高速道路の無料化が実現します。現在残っている旧道路4公団の借金43兆円は、毎年2兆円の財源を30年間充てれば、金利を含めても十分返済できるからです。その残りは、環境や安全対策に充てるべきです。

 旧道路4公団の借金を国が肩代わりし、一般の国道などと同様に国の財源にした時点で通行料金を取る根拠がなくなりますから高速道路無料化が実現するわけです。そうすれば、自動車ユーザーにとって、年間2兆5000億円の高速道路の通行料金の負担がなくなるわけです。

全国の高速道路は原則無料、渋滞を避けるため大都市だけ有料を維持

 お金の面から見れば、全国の高速道路は無料にできることを示しました。

 あくまで、財源の面から見た話です。渋滞問題や環境問題などから見て、すべて無料にすべきかどうかは別の問題です。

 まず、「首都高速や阪神高速を無料にしたら、渋滞がひどくなるだけではないか」というご意見が多くありました。その通りです。

 ですから、前回のコラムでは「欧米の一部で実施されているように、混雑緩和のために大都市部だけは料金を取ったり、時間や混雑に応じた料金の徴収をするロードプライシングを行ったりすることです。もちろん、料金は財政収入になります」と述べています。大都市部では、有料を維持すべきだと思います。原則無料、大都市の一部だけ有料、というのは英国や米国でも採用している方式です。

ETC(自動料金収受システム)を活用すれば、料金所渋滞は減り、また時間帯によって料金を変えることも簡単になります。

 もちろん、首都高速や阪神高速の料金を取れば財源になります。今と同じ料金なら年間4300億円の収入になります。これは現在年間5900億円の全国の高速道路の維持費のかなりの部分を賄える額です。

首都高速と阪神高速は値下げできる

 首都・阪神高速両高速道路会社は、これまでの定額制から、距離に応じて料金が変わる従量制への移行を進めています。これは実質的な値上げです。増収を目的としていることは明白です。

 しかし、上述のように私が首都高速や阪神高速であえて料金を取るべきだと主張するのは、渋滞を避けるためです。夜間など交通量の少ない時間帯の料金は下げるべきです。財源はあるのですから、それも可能です。 

一般道路に比べ高速道路では事故と大気汚染は減り燃費は向上する

 交通事故や渋滞、そして大気汚染の8割は市街地での道路で発生しています。交差点でお年寄りや子供がトラックにひかれる事故も絶えません。

 これに対して、同じ距離を走った場合に、高速道路上での事故は一般道路の上に比べて10分の1以下です。歩行者がおらず対面通行もほとんどないのですから当然です。

 また、高速道路では信号もなく渋滞も少ないですから、一般道路に比べて燃費は向上し排ガスも減ります。

 現在東京を走るトラックのうち6割は、東京は通過するだけと推定されています。しかも、高い高速料金を払うのを避けるために市街地を走っているトラックが渋滞や事故の原因になっています。

 高速道路無料化が実現すれば、車の流れが変わります。例えば、アクアラインや東関東、京葉、東名などの高速道路が無料になれば、成田で荷物を積んだトラックは東京都心を通らずにアクアラインから東名に乗ることができます。時間とコストの大幅な短縮になります。東京の渋滞は減るでしょう。

 そして、前回書いたように、道路財源を、ハイブリッドや水素燃料電池などの環境と省エネの技術や衝突回避や自動運転などの安全技術にもより多く使えば、事故やガソリン消費はいっそう減るでしょう。

 ただし、問題がすべて無くなるわけではありません。車は、大都市部の電車に比べれば、1人当たりのエネルギーも環境汚染も事故も多い交通手段です。すべての乗り物が電車になればこうした問題はなくなるでしょう。

 でも現実には、電車だけで生活ができる地域は大都市圏に限られます。同じ自動車を使うなら、できるだけ人と自動車を分ける高速道路の方が、害が少なくなります。

電車が常に環境に良いわけではない

 満員電車に乗るのは苦痛ですが、乗客1人当たりのエネルギー消費や排出される二酸化炭素や大気汚染は自動車よりははるかに少なくなります。

 でも、当たり前の話ですが、電車に乗る人数が少なくなればこうした環境への優位性は減ります。1両に数人しか乗らない電車の乗客1人当たりのコストと環境負荷は巨大です。

 電線に通しておく電気、沿線での照明、信号機、さらに、駅や線路のメンテナンス、掃除、洗車、さらには、駅員や乗務員のコストがかかります。

 インフラだけを見れば、人口密度の低い地域では、鉄道よりも道路の方がはるかに維持コストは低いのです。乗客が少ない地方のローカル線が廃止に追い込まれ、住民の交通手段が自動車だけになっていったのも、自動車よりも電車の方が、はるかにコストがかかるからです。

日本人全員が大都市に住んで電車に乗り、それ以外の地方には住まなければ、国全体のエネルギー問題や環境問題は改善するでしょう。

 でも、その時の日本は、耐えがたい過密の大都市の外は無人の廃墟と原野しかない国土になるでしょう。願い下げです。

 そうなると、一定以上の人口密度のあるところではできるだけ電車を使い、それ以下の密度のところは自動車を使うという現実を前提に、できるだけの改善を図るべきでしょう。

 やはり欧州の多くの国のように、高速道路は長距離や都市間の移動に使い、たとえ地方都市でも、中心市街地は路面電車、自転車、徒歩などを主体とした交通を中心にすべきでしょう。

 さらに、自動車の害であるエネルギー消費、環境汚染、交通事故、などの改善により多くの資源を投入すべきです。

 そのうえで、国全体の交通の最適化を図るべきです。北海道から九州といった長距離では、電車や船を使った輸送が合理的です。

 インターモダルという仕組みを使えば、貨物列車からトラックへの移し替えも簡単ですが、日本では進んでいません。空港や港から鉄道や高速道路への接続も改善すべきです。

 地方空港に海外からのお客さんが簡単に来られるようにしなくては、地方から海外へのビジネスの展開はうまくいきません。

高速道路無料化と伝統を守る欧州型の街づくりは共存可能

 高速道路を無料にすれば古い町並みや生活が破壊されるのではないか、という心配も聞きます。

 でも、欧州に行けば、ドイツでも英国でもスイスでもイタリアでも何百年も変わらない古い街が多く残されています。欧州諸国ではほとんどの国で高速道路は無料か非常に安い年間の利用料だけしか取られません。

 むしろ、世界一高い高速料金を取っている日本こそ、古く美しい町並みをほぼ跡形もないまでに壊してきました。米国が空襲しなかった京都でさえ、美しい町屋の甍がビルのでこぼこに変わってしまいました。美しい国の多くが失われました。

 日常生活を見ても、昔ながらの食生活を守り古い店やレストランが残り農村が豊かなのは欧州です。便利だからといって、田んぼの中にショッピングセンターをどんどん作り中心市街地を空洞化させてきたのは日本です。

 その結果、東京の資本に地方の消費は吸い上げられています。規制緩和がこの風潮に拍車をかけました。

 欧州のように無料の高速道路と伝統的な街や生活を両立させることは可能です。でもそのためには、多少の不便は我慢し、エゴも抑えることが必要になります。

 それは昔の日本人が持っていた美徳でした。ドイツやスイスなどは、高速道路のインターチェンジ付近にはショッピングセンターなどは作らせないところがほとんどです。

古い街の中心には車が入れないところも多くあります。人が歩くことを大切にします。だから、歩く楽しみを求めて世界から人が来ます。

 日本各地でも、よき伝統を守りそこから発展するという生き方も出てきました。街づくりこそ、地方が主権を持つべき分野です。

高速道路無料化は地域再生の最初の一歩に過ぎない

 高速道路無料化で日本経済の問題がすべて解決できるわけではもちろんありません。でも、重要な第一歩になります。

 経済効果は、まず、「水力発電の原理」で表れます。大都市との直線距離が近く、地価などの落差が大きいところほど、コストが低いところに経済活動が移ります。

 東京からアクアラインを渡った木更津や、神戸から本四架橋を渡った淡路島や徳島が代表です。地価の安さが様々な事業を引きつけるでしょう。

 高速道路が交差する場所も、交通の要衝として発達するでしょう。土地が広くて安いところは、高速道路無料化によって経済圏、商圏が広がればチャンスが増えます。

 また、観光、農林水産業、流通業、運輸業、など高速道路無料化のメリットが多い産業は数多くあります。

 田園からの産業革命を起こし、日本の観光や農業、健康産業などが国内だけでなく海外にも開かれたものにするために、高速道路無料化は大きな力になるでしょう。

 でも、日本経済が世界で競争していくためには、高速道路無料化だけでは足りません。世界に通用する付加価値の高い技術やビジネスモデルを持つ企業が地方から生まれなければ、地方の真の自立はできないでしょう。

 世界のイノベーションの中心である米カリフォルニア州のシリコンバレーは、無料の高速道路であるインターステートが交通の中心です。

 しかし、シリコンバレーを生んだのは、スタンフォード大学、UCバークレー、カリフォルニア工科大学、国立ローレンスリバモア研究所、など世界のトップクラスの研究機関、ベンチャーキャピタルなどの金融機関、弁護士、会計士、コンサルタント、などの専門家集団です。それらは有機的に人脈の網の目を張り巡らせています。

 日本でも、本格的なイノベーションを起こす地域づくりを始める時です。伝統と蓄積のある大学、地域のお金を集めている地銀や信金・信用組合などの金融機関が活躍する時です。

 優れた人材を集め、世界に伸びていく企業を地域全体で応援しなくては世界企業は生まれません。東京以外から日本を元気にする、それによって東京の負担も軽くなり、東京もさらに元気になる、そんな循環を起こす時です。
<転載終了>