患者の人数・治療
オーストラリアではセリアック病は大体100人に1人いるはずですが、このうち75%の人たちは気づいておらず、適切な治療をしていないということになります。
セリアック病の人は生涯を通してグルテンに敏感なままであり、治療法は現時点ではグルテン除去食の摂取しかありません。症状と小腸の損傷具合に相関関係はなく、つまり、症状が少ない、または無症状であってもグルテンを摂取し続けた場合には小腸の絨毛は炎症を起こしたままとなってしまいます。
グルテン除去食を実施した場合、着実に小腸の絨毛は修復され、健康な人と同じように食物から栄養を吸い取るようになります、
日本人にはかなり稀と言われていますが、私は疑問に思います。日本ではまだあまり知られていないため、認知度の低さから検査をする人たちが少ないからこそ日本人には稀ということになっているのではないかと思います。また、環境的要因の一つが食生活だとしたら、日本人はやはり欧米人よりも米などグルテンの少ない食事を摂っている方が多いと思いますので、そのために引き金が引かれていないことも考えられます。しかしながら、最近の日本人の食生活はかなり欧米化し、若い人ほど、朝昼晩とパン・パスタ・ラーメン、など小麦だけで過ごしている人も少なくないと思います。
隠れセリアックの人がたくさんいるのは実は日本の20代から30代なのでは?
ちなみに私はオーストラリアに引っ越してきてからは、日本だと米中心にときどき小麦だった生活が、小麦中心にときどき米、という食生活に変わりました。おやつでさえグルテンフリーが多い和菓子を食べる機会はめっきり減り、グルテンの入ったクッキーやケーキなどがほとんどに。環境的要因の主なものを食生活と考えると、子供たちにはなるべくグルテンの少ない食事にしてあげないと、いつ引き金が引かれるか分からないなと思っています。娘は12月に検査の予定ですが、陰性であることを願っています。
どんな人がセリアック病になるか
さてさて、今日はどのような人がセリアック病になるかについてお話します。
セリアック病になる人は遺伝的素質を持って生まれてきた人です。セリアック病の人はHLA DQ2とHLA DQ8というセリアック病として認められた遺伝子を受け継いでいます。遺伝子の検査は簡単に血液や口内の細胞を取ることにより可能ですが、この検査によりセリアック病かどうか判断することはできません。というのも、この遺伝子を持つ人の30人に1人がセリアック病を発症するからです。つまり、遺伝的素質に環境的要因が加わることでセリアック病が発症するということです。
これはセリアック病の人の家族(親・兄弟・子供)が10%の確立でセリアック病になるということや、一卵性の双子で1人がセリアック病になったからといって、もう1人が必ずなるというわけではない(双子の場合70%の確立でもう1人もセリアック病になるが同時期とは限らない)ことなどからも環境的要因が引き金になっているといえます。
セリアック病は欧米人やアラブ人に多く、東洋のアジア人(日本人)には非常にまれと言われていますが、私はなりました。(笑)
セリアック病はその他の自己免疫疾患、ある種の糖尿病や甲状腺の病気、リュウマチ、腸炎、皮膚結核などと関連しているそうですが、まだその原因はわかっておりません。しかしながら、自己免疫疾患を一つ抱えることで、別の自己免疫疾患を抱える可能性が高くなるようです。ちなみに私はバセドウ病(甲状腺機能亢進症の一つ)も患っています。(バセドウ病に関してはまた別の機会にお話します。)
セリアック病って何!?
まずはセリアック病についてお話します
英語だとCoeliac Disease(『seel-ee-ak』と発音します)
(北米だとCeliacと書きます。)
セリアック病とは自己免疫疾患の一つです。自己免疫疾患とは体が間違えて抗体を産生し体の組織などを傷つけることです。セリアック病の人の免疫機構はグルテンに対し異常な反応を示し、抗体を産生するため小腸の炎症と破壊の原因となります。病気であることにきづかないで放置しておいたりすると様々な種類の重病の原因となります。
治療前のセリアック病の患者は小腸の上皮細胞の絨毛と呼ばれる小突起が破壊された状態になります。とても小さい指のような小突起は炎症を起こし平らになってしまいます。健康な人の小腸の上皮細胞は栄養の吸収をしており、顕微鏡で見るとまるでカーペットのようです。絨毛の表面にはさらに小さな突起が無数に存在しており、この小腸の表面積を換算するとテニスコート1面分になります。絨毛が炎症を起こし、平らになってしまったセリアック病患者の小腸の表面積を換算すると大幅に減少しテーブルの表面一つ分かそれ以下になってしまいます。これがセリアック病の症状の一つの栄養失調の原因となります。