赤岡市場「農家のため」 | hamitellsのブログ

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6月16日、高知新聞、「ちいきのおと(=地域NOTE=地域の音)」の赤岡町(香南市)の特集記事です。

 

少量・珍品・規格外 全量競り100年

 まだ少しひんやりとした早朝。

香南市赤岡町の「赤岡青果市場」はむんむんとした熱気に包まれる。

ずらーっと並んだ野菜を囲み、キャップ帽のおんちゃんたちがわいわいがやがや。

全国の卸売市場では個別交渉による相対取引が主流だが、ここでは全ての野菜や果物が競りにかけられる。

少量、珍品、規格外、何でも来い。

農家の暮らしを思い、100年の歴史を重ねてきた市場をのぞいた。(香長総局・浜田悠伽)

 

赤岡市場「農家のため」

 「さあ、いくらー」。

午前7時半。

ビールケースに立った競り人のかけ声で、競りが始まった。

つやつやの新ショウガが入った山積みの段ボールを前に、15人ほどの仲買人が次々に指で値を送ると、競り人が「わわわわわ、わわわわわ」。

朗々とした呪文のような歌であっという間に落とされていく。

 続いてナス。

全国で品薄といい、「スーパーの特売があるがよ」と買い人の気合いが入る。

1箱4千円台の高値が続く中、出来のよくないナスには「こりゃ、へごや」とどっと笑いが起きる。

「はい、千円~」

 ピーマン、オクラ、シシトウ、ニラ、…。

ざっと30品目が競りを待つ。

一行は、市場内を順に移動しながら3時間かけて全部に値を付ける。

市場に60年通う仲買人、野崎邦夫さん(81)は「昔は品物が多くて終わるのは昼の2時。へとへとになった」と懐かしむ。

 

 同市場は1923年、農家だった初代が育てた野菜を仲間と持ち寄り、取引をしたのが始まり。

当時は産地の仲買人が農家を回って買い付けており、買いたたかれることも多かったそうだ。

農家の現金収入を増やそうと5年後に市場を開いた。

 今なお全量競りにこだわるのは「農家の暮らしを豊かにしたい」という代々の教えから。

堤俊治社長(73)は「もうかるだけではいかん。生産者、仲買人、市場が一体となってこそ地域が元気になる」。

東は室戸、西は佐川まで約2千人の生産者から品物が日々届く。

 

「お断り」せず 売れ残りも出さず

 「ほな、いこうー!」。

午前8時半。

市場の片隅で、大口の規格品に続いてバラ荷の競りがスタートした。

地元の八百屋や青果店の仲買人を相手に、「ここで修行中です」という最年少の競り人、恒石幸三さん(38)が場をさばく。

 「ここでは何でもあり」と恒石さん。

普通だったら値が付かない品も「持ってきてみい」と声をかけるからだ。

母の日を過ぎたカーネーションやくるっと曲がったキュウリも並ぶ。

ツガニやアユ、カブトムシまで扱ったこともあるとか。

 市場のそばで喫茶店を営む岡本冨美さん(83)は、モーニングに付けるイチゴとミカンがお目当て。

パイプ椅子に腰掛け指を立てるが、「よう買わざった」。

顔なじみの仲買人にお裾分けしてもらい、ほくほく顔で市場を後にした。

 競りを終え、昼を前に市場はだんだんと静かになった。

野菜はトラックに載せられ全国の市場や大型スーパーへと向かう。

この日も売れ残りはなかった。

 

 

生産者、仲買人、市場、消費者、どれもよし。

お断りせず、売れ残りなし。

いいですね~。