5月28日、高知新聞、「地空」です。
山の室戸
室戸支局 板垣篤志
何だこれは-。
緑一色の森の中、神々しく輝く白い巨木に目を奪われた。
室戸市室津の郷地区。土居山のハイキングコースに現れたのは、高さ50メートルほどのユーカリの巨木。
市民にも広くは知られていない。
「室戸の山にはまだまだこんな宝が眠っている」。
山を管理する男性の言葉に大きくうなずいた。
雄大な太平洋、荒涼とした室戸岬の岩礁、漁船の行き交う港…。
多くの人の頭に浮かぶ室戸の風景は海だろう。
海のイメージが強いこの地で、山の名所をつくる動きが始まっている。
住民でつくる団体は、約50種類の植物を楽しめるハイキング道を地区内の山に整備。
住民によるガイドツアーもスタートさせた。
「県外の人も増えた。山の時代が来始めた」。
汗を流してきた住民の顔がほころぶ。
ただ、手放しで喜べる状況ではない。
地区の人口は730人。
この10年で100人減った。
人口減は太刀踊りなど伝統行事の担い手不足にも現われている。
室戸をはじめ県内では、集落活動センターや住民団体による地域づくりなど、活性化へ多様な取り組みが進む。
だが、そこに団体があったり、人がいたりするだけでは十分ではない。
活動を、どう生かすかが鍵だ。
室戸市の人口は近年、年300人前後のペースで減っている。
これは約100人の移住者が減少幅を抑えた結果だ。
ただ、行政が企画する移住検討者向けのツアーは、既に移住した人を訪ねる内容が多い。
ユーカリの木のツアーのような取り組みがもっと広がれば、室戸に興味を持ってくれる人はさらに増えるだろう。
‟山の室戸”に新しい可能性を感じている。
過密に過疎。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」なのでしょうが日本の人口分布はバランスが悪いのでしょうね。
大都市は過度に人を集め、集めた人をこき使うことで都市機能を維持する。
辺縁の田舎は人の供給源となり自らの都市機能を維持できなくなるまで痩せ細る。
「中庸」という言葉が重みを持ちますね。
住みやすい都市であれば、規模に応じて人口は平衡した数になると思いますが…