ねぇ先生

 

明智小五郎ってどんな方?

 

 

ふむ、腕を切ったら、青い血がでそうな男だよ

 

美輪明宏さんの問いに

 

乱歩先生がそう答えたんだ

 

どーも

ハミでやす

 

みなさま

ご機嫌よろしゅう

 

 

今夜は

 

ウヰスキーをロックでやりながら

 

こんな本を開いております

 

乱歩を探して

 

旧江戸川乱歩邸に於いて

 

乱歩とご縁のあった方々

 

演劇や文学が専門の著者に

 

インタビューを重ね

 

それを纏めたものである

 

 

 

 

 

乱歩先生の物語は

 

いまだ新しく、新鮮に

 

唯一無二のすがたで

 

あっしの中にすべりこむ

 

 

なぜだろう

 

どの頁を開こうと

 

すんなり世界に同化できるのだ

 

 

たとえば

 

生まれつき奇妙な性質をもった男が登場する

 

金と暇とに飽かせて

 

風変わりな自分の夢想を実現する

 

豪奢とエロスと血みどろの幻影

 

グロテスクであり

 

どこか滑稽でもある

 

乱歩の物語は

 

熱のある病人が見る夢のように

 

鬱々とした凄みに溢れている

 

あっしは

 

本を読みながら

 

つい

 

右膝のかさぶたを

 

爪で剥がしてしまった

 

赤黒い血が

 

流れだす

 

つい、やっちまう

 

剥がさずにいられないのだ

 

 

ああ、まだあっしの血は赤い、ようだ