まもなく
夏至をむかえる
ああ、
またたくまに
半年がすぎてしまったぞよ
ようやく咲きはじめた庭のアジサイ
一年のうちで
この時節が
もっとも好きである
植物たちも
鳥も
虫たちも
すべてのモノが
陽の気にむかって
加速している
世界は
エネルギーで満ち
あっしは
その恩恵をいただくのだ
六月
湿度をはらんだ空気が
ときに
耐えがたくおもえる
気圧が圧し掛かるように
からだを覆う
胸苦しい
恋をしてるわけじゃないのに
胸苦しいのだ
夏至が近づくと
切なく
胸苦しいのは
湿度をはらむこの季節に
過去がよみがえる
から、かもしれない
制服のスカートが
汗で皮膚にはりついていた部室
逆光で顔がみえなかった
上背のある男
ちいさな肩をふるわせて泣く
おさない子供
この季節をむかえると
内側に巣食う
哀しみの滓が
騒ぎ出す
あの映画も
そのひとつ
「夏至」
トラン・アン・ユン監督
ベトナムの美しい風景と
日常がしっとり描かれている
三姉妹は
それぞれに秘め事をいだいて
母の命日に集まる
じぶんは
三姉妹の誰に似ているだろう
「青いパパイヤの香り」もすばらしいが
「夏至」は
独特の暗さがあって
あっしは好きなのだ
ああ、
また観たくなっちゃった
ウチの日陰に繁殖するドクダミ 彼奴等の生命力にはひれ伏す
願わくば
マインドもドクダミのようでありたい
なにがあってもへこたれない
強烈な地下茎を持ち
白い可憐な花を咲かせるのだ
