ロンドン 念願の「The Fat Duck」 | 世界のフレンチ食べ歩き 日本のレトロ食べ歩き

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基本的に都内のフレンチを食べ歩いていますが、時々地方や海外のフレンチを食べ歩いています。
最近はレトロな喫茶店や定食屋さんにもハマっています

ロンドンに住む友人の計らいで、念願の「ザ・ファット・ダック」に訪れることができました。
彼はロンドンに赴任している間に、ヨーロッパの有名レストランを制覇しようという目標があるとのことで、
一昨年はAstranceとBras、昨年はnomaとMugaritzを手配してくれました。


ロンドンのパディントン駅からオックスフォード行きの電車で40分ほど。
やや郊外の街にあります。
最寄り駅のMaidenheadからはタクシーで5~10分くらいのところ。
噂には聞いていましたが、あまりに質素な外観なので、
運転手さんに教えてもらわないと恐らく見つけられなかったでしょう。

 

 

昨年は半年ほど改装で休業(といいつつその間はオーストラリアで営業していた模様)していました。
以前の様子は知りませんが、天井は低くあまり解放感はありません。
昔の写真と比べると、内装は綺麗になっているような感じはありましたが、
なんでこんなところを選んで営業しているのか全く謎です。
どうせなら、移転してゴージャスなところにすればいいのに・・・なんて思ってしまいます。

シェフはヘストン・ブルメンタールという分子ガストロノミの第一人者。
(分子ガストロノミについて知りたければ、自分で調べて下さいね)
個人的にはこの分子ガストロノミについて、一部違和感を感じているものもありますが、
今回はどうなのか物凄く期待が膨らんでいました。

コースの構成は以前からほとんど変わっていないとのこと。
プレゼンテーションの仕方などが色々と変化しているようです。

今回の料理は以下の通り
   NITRO POACHED APERITIFS
       Vodka and Lime Sour, Gin and Tonic, Tequila and Grapefruit
   RED CABBAGE GAZPACHO
       Pommery Grain Mustard Ice Cream
   JELLY OF QUAIL, CRAYFISH CREAM
       Chicken Liver Parfait, Oak Moss and Truffle Toast
   SNAIL PORRIDGE
       Iberico Bellota Ham, Shaved Fennel
   ROAST FOIE GRAS
       Gooseberry, Confit Kombu and Crab Biscuit
   MAD HATTER'S TEA PARTY (c.1892)
       Mock Turtle Soup, Pocket Watch and Toast Sandwich
   "SOUND OF THE SEA"
   SALMON POACHED IN A LIQUORICE GEL
       Artichoke, Vanilla Mayonnaise and Golden Trout Roe
   LAMB WITH CUCUMBER (c. 1805)
       Green Pepper and Caviar Oil
   HOT AND ICED TEA
   EGGS IN VERJUS(c.1726),VERJUS IN EGG(c2013)
   BOTRYTIS CINEREA
   WHISK(E)Y WINE GUMS
   "LIKE A KID IN A SWEET SHOP"


まず最初のアミューズは液体窒素を活用。
スプーンにジンやカンパリやウォッカのエスプーマのムースを盛り、
液体窒素の容器に流し込むと、ムースが一瞬で凍結。上から抹茶やレモンがかけられます。
これはなんだか面白い食感で楽しめ、続く料理への期待が膨らみました。

 

 

 

辛子のアイスクリームを添えた赤キャベツのガスパチョ


 

 

エスカルゴ入りのポリッジ(お粥?)

 

2000年前の樫の木の樹液の香りを再現したもの。

 

 

カタツムリ粥


巨大な帆立とそのわたをムースにしてつめた大根。

 

有名な「MAD HATTER'S TEA PARTY」。
ガラスのティーカップに海亀や野菜それに鶉の卵が盛られ、その上に同じくガラスのティーポットが乗り、
この湯の中に金色の懐中時計を入れると、すぐにに溶けだし、
海亀の濃厚なエッセンスがにじみ出し、時計は金箔になるという仕掛け。
ヘストン氏によると、
「不思議の国のアリス」に登場するいかれ帽子屋が紅茶の中に時計を入れてしまう話を、料理に見たてたとのことです。

 

 

 

続いても有名な「SOUND OF THE SEA」。
ガラスの上に鯖と鮑そしてヒジキが並べられ、海草ベースの泡がかけられています。
その下にはタピオカとシラスで作った砂。
これと一緒にほら貝の貝殻が運ばれてきて、そこにはiPodが仕掛けられています。
イヤホンを耳に当てると波の音とかもめの鳴き声が聞こえてきます。
海の香りと波の音によって、なんだか不思議な感覚になってしまいます。
こんな演出は初めてでした。
ヘストン氏は分子ガストロノミで有名ですが、優れた演出家でもあるのでしょう。

 


デザートの最後に登場したのは、「ニトロ・スクランブルエッグ」。
鍋に入った卵に液体窒素を流し込むと、スクランブルエッグが出来上がり。
これを取り出し、パンぺルュデュ(出来損ないのパンという意味のパン生地菓子)の上に載せ、
さらに砂糖がけしてカリカリになったベーコンが添えられる。

これは何の意味があるのだろうかと思っていたのですが、他の方のブログを読んで解明。
時間と空間を旅しているうちに時を忘れ、夜が明けて朝食までいただくことになったという意味があるようです。

 

全ての料理に最新の技術を駆使して、楽しい演出があるのは面白いです。
演出に懲りすぎて、味が疎かになっているお店を幾つか知っていますが、
こちらはそんなことはありません。演出・味ともに素晴らしいものだったと思います。
遥々訪れて良かったと思えるお店でした。

 

 

High Street, Bray, Berkshire, SL6 2AQ

+44 (0)1628 580 333

http://www.thefatduck.co.uk/