蒲田 初音鮨(ミシュラン2つ星) 熟成させた季節の魚介類の美味しさを堪能 | 世界のフレンチ食べ歩き 日本のレトロ食べ歩き

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基本的に都内のフレンチを食べ歩いていますが、時々地方や海外のフレンチを食べ歩いています。
最近はレトロな喫茶店や定食屋さんにもハマっています

「蒲田の初音鮨に行きませんか?」
と声をかけられ、
フレンチしか食べないと思われているのに、なぜ声をかけてくれたのだろう・・・
な~んてことを思いつつ、以前より行きたいと思っていたお店なので、即快諾しました。

ある程度の高級寿司屋さんに訪れるのは約1年ぶり。
興味はあるものの、時間があるとつい食べ慣れたフレンチのお店に行ってしまいます。

さて当日。
今回は貸切です。お寿司屋さんの貸切は勿論初体験です。
時間前に到着すると、既に先に数名いらっしゃっており、
とても立派な和風の待合席でしばし歓談しました。

そして時間になるとカウンタ席に案内されます。
私は中ほどの席に座りました。

ご主人の挨拶から始まり、約20種類の握りが出てくるという説明がありました。
2時間半で握りのみ。おつまみなどはありません。なかなか珍しいスタイルです。

以下に今回頂いたものを記載します。

■炊き立てのシャリ
 今回使用する炊き立てのお米の紹介。煮切った赤酢使用で塩は控えめ。
 固め炊きでやや芯はあるものの表面に柔らか味があり、如何にも日本の美味しいお米を選んでいるという感じ。
 シャリの時間経過による風味の変化にネタを併せていくという紹介がありました。
 一般的にお寿司屋さんでネタとシャリが異なることは稀という認識ですので、とても楽しみです。

■蛸(佐島)
 とても大きな蛸が紹介されました。
 柔らかくかつ弾力のあるの食感で味が濃厚です。
 このお店の特別ルールとして面白いのが2つ。
 ①寿司はご主人から握りたてのものを手渡しで受け取ります。動画を見てください。
 ②受け取った寿司を口に入れるときに反転させてネタの部分が舌にあたるようにして、5秒以上カウントすること。
  これにより味わいがしっかりとわかるということ。




■こはだ(江戸前)
 シンコではないという説明があり、さらに「こはだは骨が旨い」という説明がありました。
 確かに今まで食べたことのないこはだでした。


■牡蠣(大船渡)
 生の牡蠣ではありません。軽く火を通してほんのり温かくしているとのこと。
 生で冷たい牡蠣を食べるのはフレッシュ感を楽しむだけであり、牡蠣本来の味わいを楽しんでいるわけではないというご主人の持論
 確かに、オイスターバーなどで頂く生牡蠣に旨味を感じることが無く、これについて私は疑問を持っていました。
 その疑問を解消してくれる一品でした。


■まぐろ(大間)
 なぜ大間のまぐろが美味しいのか?まぐろならどこでも一緒なのではないか?
 という疑問を私はずっと持っていました。
 ご主人によると日本海と太平洋の流れがぶつかるのが大間で、上質なプランクトンが育つ海域なのだそうです。
 そのプランクトンやプランクトンを食べた魚をまぐろが食べて育っていくので、美味しくなっていくのだそうです。


 
■鰆(山形)
 活け〆船上神経締めした鰆はさらに十数日熟成させて旨味成分を創り出したとのこと。
 こんな旨味がたっぷりの鰆は食べたことがありません。


■かわはぎ 肝のせ(松輪)」
 海のフォアグラと紹介のあったかわはぎの肝。これは素晴らしい絶品。下の上に乗せただけで旨味がとろけてきました。
 鴨のフォアグラよりもずっと脂分の少ない上品なものだと思いました。
 今回頂いた中で一番好きなものでした。


■鮪赤身づけ(大間)
 先ほどの大間のまぐろを醤油漬けにしたもの。温度が重要で冷たいものでは旨味を感じないため、
 まぐろの体温である28℃にしてから提供されます。
 これが本当に絶品。まぐろに対する概念が変わりました。


■いくら
 海苔を巻いた軍艦ではなく握り。
 なぜ海苔を巻かないのか尋ねてみると、海苔の風味が強くていくら本来の味わいを潰してしまうとのこと。
 確かに濃厚ないくらの味わいを楽しむことができました。


■鱈白子 アルバ産白トリュフのせ
 巨大なアルバの白トリュフが取り出されました。これは一体幾らするのでしょう。数十万では済まないのはないでしょうか。
 なんとこれを包丁で薄くスライスさせていきます。
 これを鱈の白子に合わせるという物凄い握り寿司。信じられないものを頂いた気分です。




■中とろ(大間)
 やはり味わい濃厚。


■大とろ(大間) 
 やはり味わい濃厚。脂分も気になりませんでした。


■天然うなぎ(金沢八景)
 うなぎ屋さんでは通常使われないほど大きな天然うなぎ。これの調理が非常に難しいことは知っています。
 皮がパリパリに焼かれていて、野味をほんのり感じるようなもの。
 貴重な体験ができました。


■いか バチコのせ
 珍味で有名ないかのバチコ。実は初めて頂きました。確かに如何にも珍味という感じですが、
 こういうの結構好きです。




■香箱蟹 ほぐし身
 さっきまで生きていた蟹をしばらく蒸して、目の前で蟹を解体してくれます。
 こういうライブ感ある劇場的演出も見ごたえがあり、こちらのお店の名物となるのでしょう。
 こんなに新鮮な蟹がたっぷりと。うっとりしてしまう一瞬でした。






■香箱蟹 脚とみそ
 続いて脚とみそ。絶対に美味しいはずです。期待以上の絶品でした。


■づけの大とろ炙り
 大間の大とろを漬けにして炙っていいのでしょうか?
 これを提供するお店は恐らく他にはないでしょう。常識を覆す握りでした。



■鉄火巻
 これまで出てきた大間のまぐろの赤身・中とろ・大とろ・炙りをミックスし、太巻きを作っていきます。
 これも贅沢な巻物でした。



■お稲荷さん
 自家製のガリが一切れ入っており、これがインパクトになっていました。


■玉子焼
 鱧のすり身を使用したふんわり柔らかい上品な玉子焼でした。


以上20品目。所要時間2時間半。
ご主人のトークが爆裂しながら、素晴らしい寿司が出続けました。
何よりも素晴らしいと思ったのが、
魚の美味しさを引き出すために工夫・研究を続けていること。
旨味成分を引き出すために、
死後硬直を遅らせる技法を取り入れている漁師から魚を仕入れ、
低温熟成させるために余分な水分を飛ばし、
グルタミン酸・イノシン酸が生成されて最も美味しいと思われる時期に提供しています。

美味しい寿司を提供する裏側に、かなりの手間をかけていることを考えると、
寝る間を惜しんでほとんどの時間に仕事をしているのではないかと想定してしまいます。

今回は本当に貴重な経験をすることができました。
もちろんこれまで頂いた寿司の中では最高です。
予約をしていただいた方、幹事の方、本当にどうもありがとうございました。
またお願いします!(笑)

店内はこんな感じです。





外観はこんな感じです。



【価格】23000円
【評価】100点以上


初音鮨 (はつねすし)
03-3731-2403
東京都大田区西蒲田5-20-2