『孫子』を読んでいたら、「形篇第四」において、ナイファンチに通じる記述に出会いました。
《白文》
勝者之戦民也、若決積水於千仞之谿者、形也《書き下し(金谷治先生による)》
勝者の民を戦わしむるや、 積水を千仞の谿に決するが若き者は、形なり。
《通釈(金谷先生解釈を踏まえたはみ唐案)》
戦いに勝つ者は、いよいよ人民を投入して戦闘させるという時には、満々とたたえた大量の水を、千仞(せんじん)の谷に切って落とすような勢いで、彼らを戦いに導く。これが態勢というものだ。
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戦わずして勝つを最善とする孫子ですが、戦うべき局面では、貯めに貯めたダムの水を決壊させて流すがごとき勢いが必要だと論じています。
孫子が語るのは、人民を投入する戦争の勝ち方ですが、これを体術による戦闘における五体の使い方に比すならば、まさにそれはナイファンチ。“即是内帆船也”といったところですね。
後ろ足で地面を蹴って進むような身体操作では、「若決積水於千仞之谿者」とはいきません。
そして、ナイファンチはナイファンチでも、膝を外に張るナイファンチにしか当てはまりません。


