世界システム論の立場からグローバル経済を分析し、資本主義の終焉を指摘し続けてきたエコノミスト、水野和夫。

今日、銀行に手続きに行った際に手に取った週刊ダイヤモンド新年特大号に、水野和夫氏のインタビューが出ていました。




内容は、
①もはや資本ストックはフローに対して十分な量。これ以上、資本ストックを増やしてもフローは伸びない。
②フローが伸びない=経済成長がない。即ち、資本主義の終焉。
③経済成長が無ければ、税収が伸びないため財政破綻するという懸念があるが大丈夫。
④富裕層への課税、特に相続税によって税収は保てる。
⑤国債金利が低いのだから、金利支払いを考えなくてよい。国債の借り換えで対応し続ければよい。

①~③は、いつもの水野節。
新しいのは④と⑤でしょうか。

資本主義に代わる経済システムを考えねば・・・という水野氏の壮大な試みの決着が④と⑤というのは、少々期待はずれ。

④は、そんなにうまくいくかいな。
⑤は、水野氏が批判してきたリフレ派の経済政策の一部です。

それに、相変わらず、金利が低い世界=現金が強い世界=カネが回らない→仕事が生まれない→新しい世代が職探しに苦しむ→社会の持続可能性の崩壊・・・というデフレの負の側面への言及がない。

このデフレの負の側面を少しでも緩和するために行われる、金融緩和と財政支出のリフレ政策については、
“資本主義終焉期の宿命としてのデフレを覆すことはできない”
というスタンスから、以前から愚策扱い。
今回のインタビューでは、特に言及無し。

やはり、水野和夫理論は、床屋政談としては抜群の面白さがありますし、与件としてのマクロ経済下で頑張るしかない企業人に参考にはなるものの、為政者の学問ではない、と言わざるを得ない。

現象をおもしろおかしく説明できるものの、真剣に対策を考える人ではない。

そう思いました。