忙中閑あり。
通勤電車の中などで最近読んだ本。

(1)日本史への挑戦
日本史への挑戦―「関東学」の創造をめざして (ちくま学芸文庫)/森 浩一
¥1,050 Amazon.co.jp

目からウロコの指摘満載の「関東学」入門書です。
よく知られた浅草寺の縁起(魚の網に観音様がひっかかった)から、古代関東の進んだ姿を推測していく部分は、わくわくしながら読みました。


(2)スラム化する日本経済
スラム化する日本経済 4分極化する労働者たち (講談社プラスアルファ新書)/浜 矩子
¥880 Amazon.co.jp
さらりと読めてしまう軽い新書。
日本経済の今後の課題が分析されコンパクトにまとまっています。いい本だと思いますが、「目からウロコ」までの指摘はなく、「そうそう、そうだよね~」と読めてしまい、内容が印象に残らない感じです。


(3)幕末史
幕末史/半藤 一利
¥1,890 Amazon.co.jp
売れに売れてる半藤一利氏の「幕末史」。
「明治『維新』」史観を崩す、あれは薩長の凄まじい権力闘争の果ての暴力による政権転覆、西郷隆盛なんて毛沢東と同じ、坂本龍馬なんて凡人・・・と冒頭で徳川支持の態度宣言していますが、内容は、そんなことなく、幕府側、薩長側の人々の奮戦奮闘ぶりを温かく敬意を込めて描く幕末政治史になっています。

個人的には、徳川慶喜という人物が以前よりよく分かったような気がしました。
彼はおそらく頭が良すぎたのでしょう。あの立場で卓越した大局的歴史観を持ってしまったことが彼の悲劇。しかし、結局は「胆力がない」とバカにされた彼が勝海舟を大抜擢したことで江戸城無血開城は実現したわけで、歴史のピエロになりつつも、彼はやはり幕末史の軸であったのだと感じさせられました。

幕末を理解するために、アナロジーとして1945年の敗戦を持ち出すところは、半藤一利氏ならでは。面白い視点だと思います。

冒頭の宣言ほど尖った本ではありませんが、読む価値のある本だと思います。


(4)世界大不況からの脱出
世界大不況からの脱出-なぜ恐慌型経済は広がったのか/ポール・クルーグマン
¥1,575 Amazon.co.jp
ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンが、この100年間におきた世界各国の経済危機を分析し、現在の世界不況がなぜ起こったのかを明らかにしていく内容。ポール・クルーグマンは、2000年頃に「良い経済学悪い経済学」を読んで衝撃を受けて以来のファンです。しかし、竹森俊平の似たテーマの本を数冊読んでいたせいか、あまり新しい発見はありませんでした。
ちょっとずれますが、最近のクルーグマンのインタビュー、元気ないですよね。

すでに、現実が彼を警告を通り越してしまったからなのでしょうか・・・。

良い経済学 悪い経済学 (日経ビジネス人文庫)/ポール クルーグマン
¥780 Amazon.co.jp