今の道場で空手を再開して丸3年、とは先日のブログにも書いたとおり
ですが、その丸3年の記念月に、先生から黒帯(の資格)を戴きました。
今年の初めに、「昇段試験は、早くて今年秋、あるいは来年春」と言われていたため、あまりに突然の展開。うれしいよりもまず、驚いています・・・。
* * *
土曜日の稽古は、通常とは異なり、道場をあげての試し割り会でした。
基本稽古で根本的な空手の動きを学び、ミットで当て力とスタミナを付け、スパーリングで当て感と攻防を学ぶ。それが、うちの先生の方針ですが、時には普段やらない稽古も織り交ぜようという考えで半年に一回ほど、クラスをまるごと試し割り会にするのが恒例になっています。
1年前は杉板をたくさん割らせてもらった私ですが 、その後道場生が大幅に増えたこともあり、今回はサポート役。稽古の1時間前に集合して、杉板などの試物を運んだり、白帯・色帯道場生たちの試し割りの際の板の持ち役がメインです。
ところが、軽い気持ちで引き受けた板の持ち役ですが、40人ほど集まった道場生の皆さんに、2回の試し割り(1回目は手刀、2回目は回し蹴り(スネ))を体験してもらうため、回数的には合計80回。ひたすら前屈立ちで板を持ち続けるのは、いい足腰の鍛錬になりました(笑)。
全員が2回割り終わった後で、先生による模範演武。
内容は、正拳によるブロック割りと、中段回し蹴りによるバット折りです。
バット折りはよく見る試し割りですが、正拳でのブロック割りはあまり見ません。今まで見てきたブロック割りは手刀や肘、あるいは踵、足刀でのものでした。試し割り用のブロックとは言え、あの塊に正拳を垂直に当てるのは結構躊躇します。成功を信じつつも、固唾を飲んで固まって見守ってしまいました。
しかし、そこはさすが我々の先生、気合一閃、ブロックは粉々に砕け、バットは二つに折れて破片が宙を舞い、道場生一同大興奮。
と、ここで、今回の試し割り会は終わるかと思った時、先生の口から次の言葉が飛び出したのです。
「ブロックはもう一つあります。誰か割ってみませんか?」
* * *
「誰か割ってみませんか?手刀でいいですよ。」
一瞬静まる道場生、ついでザワザワ。
この日集まった道場生の中で、帯が一番上だったのは、茶帯である私と嫁さんの二人。
今日始めて杉板を割ってみた、という道場生たちの中で、先生の「割ってみませんか?」は、明らかに私たちに向けられていると感じました。
しかし・・・試し割り用のブロックとは言え、私がこれまで割ったことがあるのは、杉板3枚程度。瓦やブロックなどの"焼き物"を割った経験はありません。それに、今日はただのサポート役のつもりで来ていたので、自分が何かに挑戦する、という心構えができていませんでした。
挑戦するか・・・?でも、仮に失敗したら・・・?
そんなことを考えている時に、色帯の誰かが「はみ唐さんは?」とボソリ。続けて4、5名も同じようにボソリ、ボソリと私の名前を囁きました。
それを聞いた時、躊躇している自分が恥ずかしくなりました。
自分が試されていると同時に、私にはできると先生も周囲も思ってくれている。
ならば、躊躇するのが間違っています。決心がつきました。
「押忍、先生、自分やります」
と手を上げ、ブロックの前に向かいました。
先生による足の位置と手刀の当てる位置の指導の後、私がその立ち位置に立ち、手刀をブロックにそっと当てて感触を確かめている時、先生からもう一つ驚きの言葉が。
「頑張って志願したので、これで割れたら黒帯を出しましょう。」
これでテンションが上がりました。
正しいフォームで、正確に当てれば必ず割れる。
手の力ではなく、体全身の力で。そして体全身が落下する力を、脇を締めて手刀に乗せれば、必ず砕ける。
そう信じ、2回の素振りの後で「エ゛イッ!」と気合を込めた手刀打ち下ろし。
(ブロックを割った瞬間。引き手が甘いのはご愛嬌)
手刀がブロックに衝突する瞬間の当たった感触の後、すっとその感触が消えました。
ブロックが砕けるように割れた姿を見て、充実感に包まれました。
* * *
先生から講評を戴きました。
「試し割りは、『割れないかもしれない』、『割れなかったらどうしよう?』、『怪我をしたらどうしよう?』と思ったら割れません。自分の稽古を信じられなくなったら割れないんです。
はみ唐さんは、突然の機会に勇気を出して志願して、自分のこれまでの稽古を信じたから、そして正しいフォームで思い切り技を出したから、割れたんです。私の考える黒帯の資格があります。
これを以って、今後は黒帯を締めてください。」
先生と握手をし、道場の方々に拍手を戴きながら、この稽古は終わりました。
* * *
稽古後、少しボーっとしている時に先生から、「はみ唐さん、黒帯はこれから発注するんだけど、手渡しは1ヶ月後くらいになります。それまでは茶帯を締めて稽古してくださいね。」と言われました。
確かに、いきなり黒帯を締めるには、まだ自分の中で納得行っていない部分が多々あります。
黒帯を渡すことは確定したけど、まだ渡さない。その猶予期間のうちにさらに精進しなさい、という先生独特の優しさと厳しさなのかな、と思いました・・・。
なんだか、まだ頭が混乱していますが、ともかくも変則的な“昇段審査”ながら、昇段させていただくことが決定しました。黒帯に値する空手を体現できるよう、これからさらに頑張っていこうと、思いを新たにしました。
■□■□■ おまけ □■□■□
嫁さんが撮影してくれた動画で自分の手刀打ち下ろしをチェックしました。
左足をブロックの横に置き、手刀の当てる位置を確認しています。
2回の素振りの後、本番に向けて体を上げ、
手刀の構えになって伸び上がると同時に左足の膝を抜き、
(以前動画で見た膝抜き追い突き を参考に、膝を抜きやすいよう、左足の位置を変えてみました)
腰を落下させながら手刀を打ち下ろしました。
インパクト。
割れてくれました・・・ホッ。
今年の初めに、「昇段試験は、早くて今年秋、あるいは来年春」と言われていたため、あまりに突然の展開。うれしいよりもまず、驚いています・・・。
* * *
土曜日の稽古は、通常とは異なり、道場をあげての試し割り会でした。
基本稽古で根本的な空手の動きを学び、ミットで当て力とスタミナを付け、スパーリングで当て感と攻防を学ぶ。それが、うちの先生の方針ですが、時には普段やらない稽古も織り交ぜようという考えで半年に一回ほど、クラスをまるごと試し割り会にするのが恒例になっています。
1年前は杉板をたくさん割らせてもらった私ですが 、その後道場生が大幅に増えたこともあり、今回はサポート役。稽古の1時間前に集合して、杉板などの試物を運んだり、白帯・色帯道場生たちの試し割りの際の板の持ち役がメインです。
ところが、軽い気持ちで引き受けた板の持ち役ですが、40人ほど集まった道場生の皆さんに、2回の試し割り(1回目は手刀、2回目は回し蹴り(スネ))を体験してもらうため、回数的には合計80回。ひたすら前屈立ちで板を持ち続けるのは、いい足腰の鍛錬になりました(笑)。
全員が2回割り終わった後で、先生による模範演武。
内容は、正拳によるブロック割りと、中段回し蹴りによるバット折りです。
バット折りはよく見る試し割りですが、正拳でのブロック割りはあまり見ません。今まで見てきたブロック割りは手刀や肘、あるいは踵、足刀でのものでした。試し割り用のブロックとは言え、あの塊に正拳を垂直に当てるのは結構躊躇します。成功を信じつつも、固唾を飲んで固まって見守ってしまいました。
しかし、そこはさすが我々の先生、気合一閃、ブロックは粉々に砕け、バットは二つに折れて破片が宙を舞い、道場生一同大興奮。
と、ここで、今回の試し割り会は終わるかと思った時、先生の口から次の言葉が飛び出したのです。
「ブロックはもう一つあります。誰か割ってみませんか?」
* * *
「誰か割ってみませんか?手刀でいいですよ。」
一瞬静まる道場生、ついでザワザワ。
この日集まった道場生の中で、帯が一番上だったのは、茶帯である私と嫁さんの二人。
今日始めて杉板を割ってみた、という道場生たちの中で、先生の「割ってみませんか?」は、明らかに私たちに向けられていると感じました。
しかし・・・試し割り用のブロックとは言え、私がこれまで割ったことがあるのは、杉板3枚程度。瓦やブロックなどの"焼き物"を割った経験はありません。それに、今日はただのサポート役のつもりで来ていたので、自分が何かに挑戦する、という心構えができていませんでした。
挑戦するか・・・?でも、仮に失敗したら・・・?
そんなことを考えている時に、色帯の誰かが「はみ唐さんは?」とボソリ。続けて4、5名も同じようにボソリ、ボソリと私の名前を囁きました。
それを聞いた時、躊躇している自分が恥ずかしくなりました。
自分が試されていると同時に、私にはできると先生も周囲も思ってくれている。
ならば、躊躇するのが間違っています。決心がつきました。
「押忍、先生、自分やります」
と手を上げ、ブロックの前に向かいました。
先生による足の位置と手刀の当てる位置の指導の後、私がその立ち位置に立ち、手刀をブロックにそっと当てて感触を確かめている時、先生からもう一つ驚きの言葉が。
「頑張って志願したので、これで割れたら黒帯を出しましょう。」
これでテンションが上がりました。
正しいフォームで、正確に当てれば必ず割れる。
手の力ではなく、体全身の力で。そして体全身が落下する力を、脇を締めて手刀に乗せれば、必ず砕ける。
そう信じ、2回の素振りの後で「エ゛イッ!」と気合を込めた手刀打ち下ろし。
![ブロック割5](https://stat.ameba.jp/user_images/83/fb/10073779135_s.jpg?caw=800)
(ブロックを割った瞬間。引き手が甘いのはご愛嬌)
手刀がブロックに衝突する瞬間の当たった感触の後、すっとその感触が消えました。
ブロックが砕けるように割れた姿を見て、充実感に包まれました。
* * *
先生から講評を戴きました。
「試し割りは、『割れないかもしれない』、『割れなかったらどうしよう?』、『怪我をしたらどうしよう?』と思ったら割れません。自分の稽古を信じられなくなったら割れないんです。
はみ唐さんは、突然の機会に勇気を出して志願して、自分のこれまでの稽古を信じたから、そして正しいフォームで思い切り技を出したから、割れたんです。私の考える黒帯の資格があります。
これを以って、今後は黒帯を締めてください。」
先生と握手をし、道場の方々に拍手を戴きながら、この稽古は終わりました。
* * *
稽古後、少しボーっとしている時に先生から、「はみ唐さん、黒帯はこれから発注するんだけど、手渡しは1ヶ月後くらいになります。それまでは茶帯を締めて稽古してくださいね。」と言われました。
確かに、いきなり黒帯を締めるには、まだ自分の中で納得行っていない部分が多々あります。
黒帯を渡すことは確定したけど、まだ渡さない。その猶予期間のうちにさらに精進しなさい、という先生独特の優しさと厳しさなのかな、と思いました・・・。
なんだか、まだ頭が混乱していますが、ともかくも変則的な“昇段審査”ながら、昇段させていただくことが決定しました。黒帯に値する空手を体現できるよう、これからさらに頑張っていこうと、思いを新たにしました。
■□■□■ おまけ □■□■□
嫁さんが撮影してくれた動画で自分の手刀打ち下ろしをチェックしました。
![ブロック割0](https://stat.ameba.jp/user_images/3d/7a/10073778796_s.jpg?caw=800)
左足をブロックの横に置き、手刀の当てる位置を確認しています。
![ブロック割1](https://stat.ameba.jp/user_images/9f/49/10073778798_s.jpg?caw=800)
2回の素振りの後、本番に向けて体を上げ、
![ブロック割2](https://stat.ameba.jp/user_images/9f/43/10073778799_s.jpg?caw=800)
手刀の構えになって伸び上がると同時に左足の膝を抜き、
(以前動画で見た膝抜き追い突き を参考に、膝を抜きやすいよう、左足の位置を変えてみました)
![ブロック割3](https://stat.ameba.jp/user_images/ce/7b/10073778800_s.jpg?caw=800)
腰を落下させながら手刀を打ち下ろしました。
![ブロック割4](https://stat.ameba.jp/user_images/93/10/10073778801_s.jpg?caw=800)
インパクト。
![ブロック割5](https://stat.ameba.jp/user_images/83/fb/10073779135_s.jpg?caw=800)
割れてくれました・・・ホッ。