今日は風邪でダウンしてお休みをいただきました。
寝ていたら喉は痛いものの寒気は感じなくなったので、ネットで気晴らし。

朝鮮日報(面白いんです、これが) を読んでいたら、結構読み応えのあるインタビュー集がアップされていました。

インタビューの相手は、ソフトパワーの提唱者ジョセフ・ナイ、「文明の衝突」のサミュエル・ハンチントン、「ジャパン・アズ。ナンバーワン」のエズラ・ヴォーゲルという大物ぞろい。テーマは、東アジア情勢の今後。こうした学者達が、アメリカの立場、あるいは来日した時に日本の立場での分析を語るインタビューは読んだことがありますが、韓国の立場で分析を披露する、というものは初めてです。

アメリカのような唯一の超大国の立場ではなく、また日本のような地域大国の立場でもなく、それよりもう少し低いプレゼンスの国から見た分析というのは興味深いものですね。とかく日本は大国化し始めた中国と超大国アメリカとの間でどう生きていくかに悩みますが、韓国の場合は、超大国のアメリカ、大国の日本と中国とのパワーバランスの中での自国のポジションを考えるので、いっそう難しい立場にあるんですね。

この韓国の視点だからこそ見えてくる日本の未来があるような気がします。

 * * *
 
<1>ジョセフ・ナイ教授インタビュー
ナイ
冷戦後の国際秩序をどう考えますか?
中国と日本の間で韓国の取るべき立場は?
韓国の対北政策についてどう思いますか?

<2>ハンチントン教授インタビュー
ハンチントン
日本は再武装するの?
中国は再びアジアの帝国になるの?
韓半島の統一はいつ?

<3>エズラ・ヴォーゲル教授インタビュー
ヴォーゲル
朴正煕元大統領についてどう思う?
中国の民主化はどうなる?
韓国は統一しても日本との競争難しい

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インタビューを読んでいくと、「このまま反米・反日を続けていると、大国化していく中国の衛星国になってしまいかねない」、という韓国側の焦りが見えます。ナイ教授が、「日中どちらの支配下に入らないためにもアメリカとの同盟を深めるべき」と語ると、「アメリカは日本の再軍備を後押している」故にアメリカに付くことは日本の支配下に入ることになる、とインタビューアが危機感を表しています。分からなくはない不安です。

ナイ、ハンチントン、ヴォーゲルの見解を無理やりまとめると、
・統一しても韓国が国力で日本を圧倒することは無理なので、
 日本との対立はやめるべき
・中国は間違いなく日本を超える大国となるが、日本の力は残る
・アメリカは日本に核軍備はさせない。韓国がアメリカを頼っても、
 日本の韓国支配はない(だから安心してアメリカを頼りなさい)
・韓国は、日中の水準ではなく、中規模の豊かな国を目指すべき
という感じでしょうか。

韓国が中国につこうか日本につこうかを迷っているような状態が、日本には都合が良いように思います。韓国が完全に中国側についてしまえば、どちらにつこうか? という迷いの境界は東進して日本にやってきます。外交センスの無い日本に大国を両天秤にかける綱渡り外交は無理。
残酷ですが、そのリスクを韓国に負ってもらっている今の状況を続けることが日本のとるべき方策なのかもしれませんね。アメリカの当座の戦略もそこにあるような気がします。

10年後振り返ったらどうなっているでしょうか・・・。