12月の風物詩のひとつといえば、
毎年この時期に刊行される塩野七生の「ローマ人の物語」シリーズ。
去年は、「ローマ人の物語(13) 最後の努力」で、大帝コンスタンティヌスの時代を描いた塩野女史。
全15巻の予定であることを考えると、残りは、↓のようになるかと妄想していたのですが・・・
* * * 以下、妄想 * * *
○ ローマ人の物語(14) 西ローマ帝国の崩壊
→ キリスト教国教化から、ゲルマン人の社会進出。ホノリウス帝時代の混乱、
そして西ローマ帝国崩壊までを描く
○ ローマ人の物語(15) 受け継がれるローマ
→ 西ローマ帝国崩壊後も生き残る東ローマ帝国(ビザンチン帝国)、
西ローマ版図で甦るカール大帝の「ローマ」、
ナポレオン時代の三「帝」会戦にいたるまで、ヨーロッパの地に受け継がれる
権威・概念としての「ローマ」を描く
* * * 妄想ここまで * * *
妄想は大はずれでした。
14巻のタイトルは、「ローマ人の物語(14) キリストの勝利 」
14巻がまるまるキリスト教国教化まで、ということです。
ということは、最終巻15巻が西ローマ帝国の崩壊になるのは必然。
つまり・・・
塩野七生の筆による東ローマ帝国(ビザンチン帝国)小史は、無い、ということです。
(あっても、30ページくらいか。それでは無いも同然)
残念です。
塩野七生なら、ギボン に負けない独特の東ローマ帝国(ビザンチン帝国)小史を書けたはずなのに。
いや、イタリアを愛する塩野女史にとって、ギリシア人のローマ帝国である東ローマ帝国(ビザンチン帝国)は端から興味の対象ではなかったのか・・・。
(ギリシア語文献読むの大変だしね。)
となると、塩野七生が描く東ローマ帝国(ビザンチン帝国)は、「コンスタンチノープルの陥落 」だけか。あれは十分(いや、かなり)面白いけど、部分的には不満もある。東ローマ帝国(ビザンチン帝国)は単に舞台に過ぎない。
今度こそは、ローマ帝国史のコンテクストの中での、塩野ビザンチンが読みたかったのだが・・・。
数年来の楽しみがひとつ消えてしまいました。