やさしい嘘 出会い/7
一時間が経とうとしていた時、ようやく幸太は戻ってきた。
「おかえり。」
「もう一時間くらい経つけど、お客さん大丈夫なの?」
特に急ぐ様子もない幸太を見て、二人とも少し心配になったようだ。
「うん。予定通りだから、何も心配いらないよ。」
「ふーん。ならいいんだけど、面倒なことはごめんだから。」
親の経営する旅館とはいえ、従業員が働く中で何もせず待たされ一時間。
居辛さを感じはじめているのだから、幸太にしっかりしてもらわなければ…。
「じゃあ挨拶行こうか。」
そう幸太が言うと、流人は急に不安そうな顔をしていた。
「うわっ。いざとなったら緊張するね。」
秋人は笑いながら流人の頭をグシャッとなでた。