橋下発言に唖然 | はんぐるぐるぐるのブログ

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橋の上に寝っ転がって、水が流れるのを眺めてみよう。それか、跳ねてみよう。それか、赤い長靴を履いて、泥の中を歩いてみよう。それとも、丸くなって、雨が屋根に落ちる音に聞き入ろう。人生を楽しむことは、とてもかんたんなんだ。(トーヴェ・ヤンソン、「ムーミン」より)

まずは、朝日新聞のサイトに掲載された記事、<「慰安婦」問題、風俗業に関する橋下氏の発言要旨>

この人って、一応弁護士だったような。日本の弁護士法の第一条 には、

弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。

とあるんですけど。

それに、この弁護士法は、戦前・戦時中の日本で人権が徹底的に踏みにじられたことを踏まえて、日本では国家による人権擁護が難しいことを予期した上で、制定されたのではないかなあ。日弁連のサイト にも、

弁護士が、その使命である人権擁護と社会正義を実現するためには、いかなる権力にも屈することなく、自由独立でなければなりません。

と書いてあるし。

そんな使命を持つ弁護士が、権力側に立って、人権を踏みにじるような発言をするとはどういうこと?

確かに、この規定は、まず第一に弁護士としての職務を規定しているのであって、個人・政治家としての思想・言動までは規定していないのかもしれないけれど、一度弁護士になって、まだ登録してるんだから、どこかに弁護士法一条の理念を肯定・尊重する部分があってもいいと考えるのは間違ってるかなあ。

歴史問題を解決しないまま、こんな発言して、どこが「日本維新の会」なんだろう。それより、「時代逆行の会」はどうですか。

「意に反して慰安婦になってしまった方は、戦争の悲劇の結果でもある。戦争の責任は日本国にもある。心情をしっかりと理解して、優しく配慮していくことが必要だ。」(朝日新聞オンライン記事 より)

一見聞こえは良いけれど、この文章の前後の発言と合わせて読むと、橋下氏が、「慰安婦」にされた女性たちの心情を全く理解せず、優しくも何とも配慮していないことがはっきりする。

1年ちょっと前、ハンブルグ大学韓国学の催し物で、日本軍に無理矢理「従軍慰安婦」にされたソン・シンド(宋神道)さんに関するドキュメンタリー映画「オレの心は負けてない」 を観て、涙が止まらなかった。ソンさんは、16歳で「仕事がある」と騙されて、「慰安所」に連れて行かれる。戦地に駆り出される。戦後、一人の日本兵とともに日本に渡るが、置き去りにされてしまい、学校教育もろくに受けられなかったソンさんは、経済的につらい生活に追い込まれる。ソンさんは、1992年に元「慰安婦」であったと名乗りでて、日本政府を相手取り訴訟を起こすも、全面敗訴する。

公式な謝罪も法的救済も補償も無く、どこがどう被害者の心情を理解して優しく配慮しているのだろう。被害者一人一人に面と向かって同じ発言を繰り返せるのか。

橋下氏は具体的にどうやって基本的人権、社会正義を実現しているのか。頭は回るかもしれないけれど、一体何のための知識なんだろう。他人の痛みを分かろうとしない政治家・「有識者」の存在価値とは何だろう。

北朝鮮に拉致された人に名前と顔があるように、日本軍の「慰安婦」にされた女性一人一人にも名前と顔がある。ハルモ二たちが年老いて亡くなっても、日本列島が安倍や橋下のような発言をする人間で溢れかえっても、日本軍・日本政府・その他加害者の罪が消えて無くなることはない。