じゃいがも。 -4ページ目
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■お伽話職人の苦悩~さるかに合戦編~

昔々、ある所に、お伽話職人達がおったそうな。

彼等の生業は、自分達の作ったお伽話を通じて、子供達に道徳や秩序を教える事じゃった。

この日も彼等は、新しいお伽話について話し合っておった…。



職人A「今回のお伽話のコンセプトは、"弱者を虐げる者には必ず罰が下る"だ。」


職人B「草案を聞こう。」


職人C「また"桃太郎"みたいな任侠モンやったらシバくで。」


職人A「簡単な粗筋は、こうだ。」


職人C「のっけからシカトや。」


職人A「意地悪な猿にオニギリを騙し取られ、さらに青柿をぶつけられ瀕死の重傷を負った蟹の為に、仲間が立ち上がり、猿を完膚無きまでに叩き潰す…というストーリーだ。」


職人D「仇討ちモノか。」


職人B「…で、作戦名は?」


職人A「ご挨拶だな。」


職人D「一応断っておくが、勿論お伽話だろうね?お伽話以外は後世に残さないという我々のルールはご存知のはずだ。」


職人A「無論。マニフェストは“やるやる詐欺”であってはならないからな。」


職人C「さりげなく政界風刺しよったで。」


職人D「…で、仲間…とは?」


職人A「蜂・栗・臼・牛のフンだ。」


職人B・C・D「はぁっ!?」


職人A「蜂・栗・臼・牛のフンだ。」


職人B「二度言うな。聞こえている。」


職人C「牛のフンて。」


職人B「臼というのはアレか、古い物には霊が宿るとかいうやつか。という事は、その蟹が300年ほど使用した愛用の臼で、妖怪化したのだな?」


職人D「ずいぶん長寿な蟹だな。その蟹こそ化け蟹だったんじゃないのか?」


職人B「すると描画は水木しげるに依頼するのだな?」


職人C「いや、もう少し牛のフンに食いつこうや。」


職人D「だな。排泄物では妖怪化のしようがない。」


職人C「蜂と栗も妖怪化は考えづらいで。」


職人A「……諸君、まず妖怪から離れよう。これはお伽話だ。」


職人C「せやかて、有り得へんて。」


職人B「うむ。お伽話はバーリトゥードではない。」


職人A「まぁ皆、粗筋だけでも聞いてくれ。」


職人C「ほなら聞こか。」


職人A「蟹がオニギリを食べようとしているところへ、猿がやってくる。猿は、自分の持っている柿の種とオニギリとの交換を持ちかける。」


職人D「…念の為だが、その柿の種は亀田製菓の物ではあるまいね?」


職人A「うむ。正真正銘、果物の柿だ。」


職人B「続けてくれ。」


職人A「猿は蟹に、オニギリは今食べてしまえば終わりだが、柿の種はいずれ実をつけるなどと、言葉巧みに交換してしまうのだ。」


職人C「最終的には、合意の上で交換してるわけやな。」


職人D「クーリングオフは物々交換には適用されないのだな。」


職人B「うむ、猿がオニギリを食してしまった時点で契約破棄が困難になる。」


職人A「…続けていいかな?」


職人B「頼む。」


職人A「柿の木はやがて、たわわに実をつける。蟹が猿に収穫を依頼すると、猿は柿の木を占拠し、抗議した蟹に青柿を投げつけ、重傷を負わせてしまう。」


職人D「猿が柿を収穫する事は、契約に盛り込まれているのかね?」


職人A「うむ。口頭でだが。」


職人B「契約内容が履行されないという事であれば、猿は法廷でも厳しい立場に立たされるだろう。」


職人C「法廷?」


職人A「そこへ蜂・栗・臼・牛のフンが通りがかり、事の顛末を聞く。」


職人B・C・D「そこがおかしい!」


職人C「牛のフンは通りがからへんて。」


職人D「メンバー構成の段階で既に間違っている。」


職人B「彼らに落ち合いようがなければ、通りがかりようもないのだよ。ついでに言えば、意気投合のしようもない。」


職人A「猿の悪辣な行いに憤怒した彼らは、蟹の敵討ちの計画を立てる。」


職人C「完ッ全にシカトや。」


職人D「言わせておこう。」


職人B「うむ。…で、ミッションの内容は?」


職人A「猿が囲炉裏で暖まっているところに栗が飛び込み、猿に向かって弾ける。」


職人C「自爆かいな!命張っとんな。」


職人A「驚いた猿が家から逃げ出すと、牛のフンに足を取られ、転倒する。」


職人D「牛のフンは圧死か…。たかが転ばせる為に命を差し出すなんて。」


職人A「そこへ、屋根から臼が猿めがけて飛び降りる。」


職人B「猿の家が何階層か知らんが、地面がアスファルトであれば、双方ただでは済まんな。」


職人A「最後は蜂が猿を刺し、敵討ちは完了だ。」


職人B「蜂はスズメバチか?クマバチか?いずれにせよダメージは少なくない。」


職人D「蜂は一度、針を使うと絶命すると言うからな。」


職人C「つまり、この戦の結末は、敵・味方とも全滅…かいな。死屍累々やな。」


職人A「…どうしてそう殺伐とした方向へ話を歪曲させるかね。何度も言うが、これはお伽話だ。戦ではない。死人は出さん。」


職人C「ムリやて。戦には犠牲が付きモンや。」


職人A「戦ではなく、お伽話だ。誰も死なせん。」


職人B「まだ言うか。」


職人D「…戦死者は一人も出さない…と?」


職人A「さよう。戦死者など絶対に出さん。」


職人D「素晴らしい。」


職人B・C「はぁっ!?」


職人D「有能な指揮官は、まず友軍の犠牲を如何に最小限に抑えるかを考える。」


職人B「つまり?」


職人D「彼は、敵も味方も殺さず、無血で合戦を終了させる算段を温めているはずだ。如何かな?」


職人A「さよう。」


職人D「わかった。では、後世まで語り継がれるであろう、この合戦の名は?」


職人A「さるかに合戦。」


職人B・C・D「やっぱり戦じゃねぇか!!」




~糸冬~

■お伽話職人の苦悩~桃太郎編~

昔々、ある所に、お伽話職人達がおったそうな。

彼等の生業は、自分達の作ったお伽話を通じて、子供達に道徳や秩序を教える事じゃった。

この日も彼等は、新しいお伽話について話し合っておった…。



職人A「今回のお伽話のコンセプトは、"仲間と力をあわせれば、どんな苦難にも打ち勝つ事が出来る"だ。」


職人B「草案を聞こう。」


職人C「また"浦島太郎"みたいなバッド・エンドやったらシバくで。」


職人A「アレはアレで"節度を超えると痛い目に遭うぞ"というコンセプトがある。」


職人C「結果が人助け全否定しとるやん。あ、亀助けか。」


職人D「まぁ、いい。聞かせてくれ。」


職人A「うむ。まず、優しい老夫婦に育てられた若者が、恩返しにと、仲間に猿・犬・キジを連れて鬼退治に行き、見事に宝を持ち帰るというエピソードを考えてみた。」

職人C「鬼相手に猿・犬・キジて…。」


職人B「せめて犬というのはドーベルマン級だろうね?」


職人A「いや、漠然と浮かんだイメージでは柴犬だな。」


職人D「じゃあ、猿というのはマウンテンゴリラかね?」


職人A「漠然とだが、ニホンザルだ。」


職人B「では、鬼の戦闘力が三毛猫級といった所か。」


職人A「いや、赤鬼・青鬼・黒鬼それぞれが一個中隊を組み、それぞれ米海兵隊級の戦闘力を持つ。武器は金棒だけだが。」


職人B「…もう一度聞くが、こちらの戦力は?」


職人A「猿・犬・キジだ。」


職人BCD「……。」


職人A「猿・犬・キジだ。」


職人C「聞こえてるて。」


職人B「それで、彼等は一体どうやって鬼退治をするのかね?」


職人A「猿は引っ掻き、犬は噛みつき、キジはクチバシでつつく。」


職人D「わかった!猿・犬・キジをそれぞれ数百匹づつ連れて、奇襲作戦を敢行するわけだ!」


職人A「いや、それぞれ一匹づつ連れ、正面からボートで乗り込む。」


職人B「…瞬殺では?」

職人D「だな。金棒といえば重さにして100~150kgだろう。それを片手で振り回す輩に柴犬をけしかけて勝負になるとでも思っているのかね。」


職人C「その若者は勿論、白兵戦のプロなんやろ?」


職人A「いや、初陣だ。武将列伝じゃないんだぞ?」


職人C「せやかて…。」

職人B「待て待て。恐らく相当の訓練を積んだ動物達に違いない。」


職人A「いや、旅の途中でたまたま見つけた動物達だ。お伽話だぞ?」


職人D「お伽話とて、何でもアリというわけではあるまい。」


職人A「仲間と力をあわせ、圧倒的戦力を覆す事こそが、この話の核なのだ。」


職人C「…圧倒的過ぎるやろ。」


職人B「せめて若者を育てた老夫婦は兵法の達人。若者は傭兵あがりで白兵戦の達人。猿はマウンテンゴリラ。犬はドーベルマン。鳥はイヌワシ。乗り物は米軍払い下げの上陸用水艇。パトリオットミサイルで敵戦力を半減させた後に上陸、一気に本陣を落とし、指揮官を人質に取って降伏を迫るとか…。」


職人A「それはお伽話ではなく上陸作戦だろう。」


職人B「…。」


職人C「…で、その鬼ちゅうんはどんな悪さしとるんや?」


職人A「うん?特には。」


職人BCD「えっ!?」


職人A「特に悪さはしていない。」


職人D「若者は鬼退治をして宝を持ち帰るのでは?」


職人A「そうだ。そうしないと、ただのカチコミになってしまうからな。それに宝を貯め込んでいる輩にロクな奴はいまい。」


職人B「カチコミか強盗かの違いだけでは…。」

職人D「百歩譲って良しとしよう。では、宝を得た若者は、その後どうするのかね?」


職人A「猿・犬・キジと別れた若者は、生家に戻り…。」


職人D「待て待て待て。猿・犬・キジへの分け前はないのか?」


職人A「おかしな事を言うな。動物に宝など必要あるまい。それに、道中キビダンゴを与えている。」


職人C「命懸けの戦いさしてギャラはキビダンゴかいな…。やくざな男やな。」


職人A「私が伝えたいのはギヴ・アンド・テイクではないからな。」


職人B「動物達に若者に命を預ける義理があったとも考え難いが…。」


職人D「動物を食べ物で懐柔し、何の罪もない鬼達に奇襲をしかけ、宝を奪い、動物達には分け前無し…か。それで、この作戦の名前は?」


職人A「桃太郎作戦。」

職人BCD「やっぱ作戦じゃねぇか!!」



…そして、このお伽話は「桃太郎」という名前になった。

■電子書籍作家デビュー

私「jaigamo」のデビュー作、『レンタラバーの奇跡』がAmazon及びKindlestoreにて発売されました。
執筆から発売まで10年近く経てしまい、今改めて読み返すと、なんとも気恥ずかしい気持ちになります。
構成も文章も拙い作品ですが、思い入れのある作品です。
ぜひ、ご購読下さい。

次回作などの情報は、FacebookやTwitter、mixi、各ブログに随時アップしてゆきます。

皆様、今後ぜひ、jaigamoを宜しくお願い致します。
http://www.amazon.co.jp/dp/B00G6HJMRS/ref=tsm_1_fb_lk

■空想してみた

19××年、東京某所での出来事。




白井「それでは、『第58回・ポストの色を決める会』を開催します。」



青山「…だからさ、何で青にしないのよ。つーか何で58回もこんなくだらない事やってんの。さっさと青にすりゃいいんだよ。」



金原「絶対、金色がイイって。高級感出さなきゃ、高級感。」



赤沢「…シャチホコじゃねーんだよ。」



金原「赤沢さん、今なんて?」



赤沢「大体ね、金色なんかにしてみなさいよ。嫌味以外の何者でもないでしょ。金メッキなんかにした日にゃあ、エサに群がるコイみたいに剥がされて、翌朝には地金よ?」



金原「…。」



白井「いいかな?」



青山「どうぞ。」



白井「手紙やハガキは、概ね白だ。となれば、ポストも白であって然るべきではないのかね?白は清純の象徴。清い男女が、互いの想いを真っ白な手紙に綴り、真っ白なポストに投函する…。想像してみなさい。」



赤沢「今の若者は、結構過激な事を書くぞ?」



青山「あんた、やけに絡むね。」



赤沢「赤にしなさいよ。赤は情熱の色、赤は心の炎、何より目立つ。」



金原「目立つなら、金が…」



一同「おたくは、もう帰っていいよ。」



青山「やはり青にすべきだろうね。空を見なさい。海を見なさい。青でしょう。自然に逆らってはいけません。青がいい。」



赤沢「空?夕焼けは、赤だが?」



青山「あんた、機嫌でも悪いのかね。」



金原「ここはひとつ、『黄金の国ジパング』のイメージを崩さない為にも…」



青山「まだ言うか。」



赤沢「金なんかにしたら、国民に袋叩きにされますよ?国民の血税を、何と心得る…って。」



白井「そもそも、本気で言っているのかね。そんなアホな事。」



青山「久しぶりに口を開いたと思ったら、言うねぇ、白井さん…。」



金原「…。」



赤沢「じゃあ聞くが、皆さんの体に流れる血は、何色ですか。」



青山「何だね、いきなり。」



赤沢「赤以外の何色でもないでしょう。人間の根本とも言える色です。赤にすべきです。」



白井「しかし、過激な色だし…。」



赤沢「じゃあ、あなたは流血して倒れている人に、『過激ですね。』と声を掛けるのか?」



青山「まて、話を戻そう。」



赤沢「私の言葉に信憑性が無いと言うのなら、身を以って証明しようじゃないか。」




赤沢、懐からナイフを取り出し、自分の左手首に当てる。




一同「わーーーーー!!!」



白井「落ち着きなさい、誰も君の言葉を疑ってはいない。」



青山「うん、赤はいいよな。」



金原「目が本気だ…。」



赤沢「私の体から噴出した液体の色で、決めたらいい。」



白井「わかった。私も赤を推そう。」



青山「じゃあ、赤に決定という事で。」



一同「い、異議無し!」



金原「せめて、足元だけでも金に…」



白井・青山「黙れ。」




こうして、ポストの色は赤に統一されたのだった。

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