# 2023年の月見バーガーまとめ・豆知識編 | ハンバーガーストリート

# 2023年の月見バーガーまとめ・豆知識編




 2023年の月見バーガーまとめのラスト3本目です。「実食編」「資料編」に続いて、去年取材して判明したことをまとめておきます。

§ §

≪知識その1≫……まずは前回からの流れで、各社「たまごをどう調理しているか」について並べてみましょう。以下↓テーマを単純化してみました……。

【卵を焼いているor焼いていない問題】

■マクドナルド
・店内で焼いている
■モスバーガー
・焼いていない ※たまご加工品使用
■ロッテリア
・焼いていない ※たまご加工品使用
■ウェンディーズ・ファーストキッチン
・店内で焼いている
■ファーストキッチン
・店内で焼いている
■ケンタッキーフライドチキン
・焼いていない ※たまご加工品使用
■コメダ珈琲店
・焼いていない ※たまご加工品使用


 と言うことで「3対4」で焼いていない方が多数派です。どっちが良い・悪いでなく「目指すところ」が違うということですね。もう少し具体的に「黄身がどんな状態か」で見てみましょう……。

【2023年の月見バーガー 各社の"黄身"の状態】

■マクドナルド
・やや固め ※片面焼き ※でも黄身は崩している
■モスバーガー
・とろり半熟状態 ※たまご加工品
■ロッテリア
・とろり半熟状態 ※たまご加工品
■ウェンディーズ・ファーストキッチン
・やや固め ※両面焼き
■ファーストキッチン
・やや固め ※両面焼き
■ケンタッキーフライドチキン
・とろり半熟状態 ※たまご加工品
■コメダ珈琲店
・とろり半熟状態 ※たまご加工品


 という感じになりますか。「モスバーガー」「ロッテリア」「KFC」「コメダ」のエッグは半熟風の"たまご加工品"です。冷凍食材を店で解凍・加熱して使って(いると思われ)ます。

≪知識その2≫……他店に先駆けて「半熟タマゴ」を導入したのはロッテリア。2005年の「半熟たまごのてりやきバーガー」以来20年近くの歴史があるので、「半熟の元祖はロッテリア」という認識でよいと思います。一方で「マクドナルド」「ウェンディーズ」「ファーストキッチン」は鉄板の上に油を引き、卵を割り入れて、加熱し……という調理を「店内で」やっています。

≪知識その3≫……特にマクドナルドにそのイメージはないかも知れません。あのホッケーのパックみたいな形のエッグが「工場から送られて来るのかな?」なんて思ってたかも知れませんが、違います。その辺り、日本マクドナルドがこちらのページでしっかり情報発信しています。その「EGG POINT 4」のところに"エッグクッカー"の写真が載ってますね……あ、動画もあった!

 ■マック謎とき探検隊 第二話「まんまる卵のナゾを追え!」

 この「ビッグマップ」というページを読むと、マクドナルドがたまごの「何に気を付けているのか」がよくわかります。つまり、「衛生面」を気にしているので"半熟にしない"との考えのようで。

 さて問題は、マクドナルドのたまごの"焼き方"です。「お店で一つずつ蒸し焼きしている」と言っている通り、どうも「フライドエッグ」ともビミョーに呼びづらい調理法なのかなという……。

 マクドナルドは「basted egg(ベイステッドエッグ)」だと、ある人から情報いただきました。途中でお湯を注いで「蒸し焼き」にするのだと。こちらのページには"basted egg"は「熱した油を白身にかけてしっかり炒める」のだとありますが、油でなく「お湯」で蒸らすのがマクドナルドの調理法。だから、四ツ谷の「CRUZ」のような多量の油でカリカリに揚げ焼きする感じとは違い、もっと「ぷるぷる」な仕上がりですね。

 そんなことで、これまでマクドナルドのエッグは「フライド」に括って来ましたが、今年からは「蒸し焼き(ベイステッド)」に分類しようと思います。なお、マクドナルドは「片面焼き」です。途中で引っ繰り返しません。油を塗布した鉄板で焼く点は「フライド」と一緒です。

≪知識その4≫……一方、「ウェンディーズ」と「ファーストキッチン」は蒸し焼きにはせず、油を引いた鉄板で「両面焼き」にしています。こちらは「フライドエッグ」でよいでしょう。ファーストキッチンについては「たまごを焼き続けて45年」です。全国規模のチェーンで初めてフライドエッグのバーガーをメニュー化したのはファーストキッチン。それを「月見バーガー」と呼んだのはマクドナルドが最初ですが(1991年)、「ベーコンエッグバーガー」は1977年の創業以来、ファーストキッチンがずーっと続けているメニューです。その点はもっと注目されてよいと思います。

≪知識その5≫……ウェンディーズは2022年から「月見」を始めましたが、実は米本国のウェンディーズにエッグを使ったバーガーメニューはありません。こちらが本国のメニューですが、ベーコンかチーズばっかりで、確かにエッグは無いです。"Breakfast Combos"を見ると出て来ますが、でも、それらはハンバーガーではありません。"また別の食べ物"というのが彼らの認識で。と言うことで、日本のウェンディーズは月見バーガー発売に当たり、各店にエッグ専用の鉄板を"新規に"導入したと、風の噂に聞いております。

≪知識その6≫……あとは本家「月見バーガー」の"本来の姿"……。こちらのページなどを参考にすると、「オーロラソースが入ったベーコンエッグバーガー、野菜なし」が"狭義の月見バーガー"のようです。だからテリヤキソースを使ったエッグバーガーは、マクドナルド的には「春のてりたまだよ」ということになりますね。つまり現在、"広めのストライクゾーン"で月見戦争は過熱しています。

≪知識その7≫……では、「なぜ月見バーガーがこれだけの広がりと盛り上がりを見せているのか」というのを最後に。

 これはシンプルで、「グラコロ」のリリースを見ると、右肩に「®」の登録商標マークが付いてますが、「月見バーガー」には何も付いてません。それです。月見バーガーなる名称が商標登録されていないことが、結果として、他社も自由に参加出来る「オープンな競争の場」を生むことになった……ということでしょう。すごく良いことに思います。これからもおおらか&ゆるやかに盛り上がって行って欲しいです。個人のバーガー専門店もどんどん便乗して欲しいなと思ってます。以上まとめると……。

●2023年時点では「とろり半熟」派が優勢
●半熟の元祖はロッテリア
●マクドナルドは店内でたまごを蒸し焼きにしている
●ファーストキッチンはたまごを焼き続けて45年
●米国ではハンバーガーにエッグはあまり乗せない
●本来の月見バーガーはベーコンエッグバーガー、野菜なし
●マクドナルドは「月見バーガー」を商標登録していない
⇒オープンエントリーなバトルが実現しているのはそのおかげ

§ §

 長くなりましたが、去年の秋に調査して判ったことはこんなところです。今秋の盛り上がりを期待します。「月見」は年に一回、ひとつのテーマで各社が自由に競い合える画期的な場だと思います。大いに盛り上がれ、今年の月見! (おわり)



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2024.1.8 Y.M