仕事は終わりに近づいた。
すでに夕闇は深く、辺りは車のライトと薄暗い街灯だけ。
私は仕事の合間に子猫達の様子を見ていたが、お腹がくちたのか、いつの間にか居なくなっていた。
ただ、飼ってあげられないのが残念で未練で、だとしてももう一度その姿が見たいと思った。
彼らは、この先どう生きていくのだろう。
もしかしたら、近所の人が世話してくれたりしないだろうか。
二匹とも薄汚れていた。
しかしたくましかった。
時折、まだ子猫らしさを発揮して二匹で追いかけ合いっこしたり、じゃれ合ったりしていた。
今はいない。
ねぐらに帰ったのだろうか?
私は終わりそうでなかなか終わらない仕事をしながら、頭の片隅で考えていた。
そして、またゴミが放置された付近に戻る機会があった。
…いた。
ガサゴソと再びゴミ袋を漁る音がする。
そーっと覗くと、先ほどの白地に黒分けがまたしてもいた。
なんという食欲かと笑った。
確かに、野良にしては痩せて無かった。
そこそこ食べられているのだろう。
貪欲に生きている。
ふと気付くと、黒地に白分けがこちらを見ていた。
少し目が合った。
すると、彼はそそくさとガードレール沿いに身をかわして白地黒分けの兄弟の元へ向かった。
一緒にいる。
こぼれたモノを口にしながら、しかしガツガツ食べる訳でもなく、一緒にいる。
無性に連れて帰りたくなった。
しかし現実は、ただ見ているしか無かった。
情けなかった。
彼らはまたしても移動していった。
しかしそれは帰るのではなく、草むらで遊ぶためだったようだ。
子猫らしい俊敏さで、彼らは遊んでいた。
私はハラハラしていた。
あまりに熱中し過ぎて道路に飛び出したりしないか。
こんな暗闇の中、運転手からは絶対見えやしない。
すると、ふと気づいた。
二匹で遊んでいたハズなのに。
暗闇の中なのに。
黒い影が走り回っている。
そう。
黒い子猫だった。
もう一匹いたのだ。
大きさは他の子猫と同じくらい。
暗闇に黒なので詳細は分からないが、兄弟とみていいだろう。
三匹が駆け回っていた。
三匹とも元気だった。
どの子か分からないが、時々くしゃみをしていた。
風邪だろうか?
鼻炎だろうか?
しかし、彼らは元気だった。
願わくば、車に敷かれたりせず、元気に生きてほしい。
何も出来ないまま、私は無力さだけを持って家路についた。
…少なくとも、ここにゴミを放置したヤツは、社会的にロクデモナイかも知れないけれど、少なくとも何も出来なかった私より、この子たちの役には立っているんだ。
そう思った。
〈完〉
