足の指を骨折し休んでいた釣りを、きょう(6日)再開した。骨折はベッドから降りるとき、布団を落ちるのを防ぐスチール製の柵に右足の小指を引っかけ、挟まれてしまったのが原因だった。2日過ぎてもあまりに痛いので整形外科に行くと、レントゲンを撮ったT先生が「折れてますね」。あまりのあっけなさに驚いた。しかし、T先生。「骨がずれると手術しなければならなくなりますよ」と半ば私を脅迫するようなことをおっしゃる。だから、毎週のようにレントゲンを撮ってもらっては、骨の位置に異常のないことを確認していた。そして、腫れ物(折れ物?)に触るように、患部に体重をかけないように、1カ月以上、静かに暮らしてきたのだ。しかし、5月末、先生から「もう(骨折)以前の生活に戻っていいですよ」とお墨付きが出た。

 またまた前置きが長くなったが、バランスを崩しやすいので休んでいたボート釣りで、横須賀市の大津港に出かけた。狙いはアジ。いつものように、地元にいる釣りの先輩Hさんのご指導を仰ぐことになった。

 回遊しているアジの群れを引き寄せるために撒き餌をするが、今回は鰯(いわし)のすり身。これをかご(ビシ)に詰めて、海底から3メートルぐらいのところで竿を振って海中にばらまくと、匂いに誘われてアジの群れが近寄ってくる。はずだった。

 ところが、1時間経ち、2時間経ってもさっぱりアタリがない。ボートをこいで別な場所でやってもさっぱりだ。

 私は、以前にアジを釣ったときを思い出した。アジは2~3匹だったが、30センチ近いイシモチが2匹釣れたのが忘れられなくて、もうⅠ本の竿はアオイソメをエサにして、海底に沈めたままにしていた。その竿にぐぐっとアタリが来たのだ。

 アジにしては大きい。そして上がってきたのは「海の女王」シロギス。しかも、これまで釣ったこともないような体長23センチという大物だった。そして、さらに2匹、20センチ級のシロギスを釣り上げた。

 私はアジやイシモチは念頭にあったが、まさかシロギスが釣れるとは想像だにしなかった。外道だが、思わず笑みがこぼれる。面白くないのはHさん。言い出しっぺで、せっかくアジを釣る準備をして仕掛けもいちから作ってきたのに大外れとなったのだから、ベテランの釣り師としては沽券に関わるのはもっともだ。Hさんの名誉のために書いておくが、Hさんは友達のクルーザーに乗って、昨年は体長80センチの真鯛、今年は重さ9キロのブリを釣り上げている「名人」だ。

 あくまでもアジ釣りにこだわるHさんは、撒き餌を続けるが釣れない。早々と諦めた私には、それからも良型のシロギス2匹が釣れた。もう、引きあげようかという昼前、粘っていたHさんも、大型のシロギスを釣り上げ、坊主を免れた。「ここは結構シロギスがいるんだね。知らなかったな。これも持ってって」と、Hさんはそのシロギスを私にくれた。こういうHさんの温かさ、やさしさが好きだ。というわけで、私の釣果は特大を含むシロギス6匹(写真)となった。さあ、これから、塩焼きとムニエルでおいしくいただこう。               (2024.6.6 風狂老人日記)