新型コロナウイルスの感染が広がっているというので、昨日、自宅近くの薬局でマスクを買おうとすると、売り切れだという。女性の店主は「1人で3つ(袋?)も4つも買っていく人が多いんですから、すぐなくなっちゃうんです」と困った表情で話した。

 ネットでは、国内でウイルスが蔓延している中国人や、日本に滞在している中国人が航空便などを利用して日本のマスクを買い占めているとの情報も載せられていた。が、それだけではないだろう。去年の台風による停電時には、スーパーからペットボトルの水などが瞬時に消えたことを考えれば、危機感を持った邦人が、大量に買い占めていることは明らかだ。

 わが身を守りたいという人情は分からないわけではない。が、よく考えてみるがいい。マスクの買い占めが横行し、広く行き渡らなくなれば、それだけ感染のリスクは高まるということだ。自分がマスクをかけていても、かけていない人が多ければ、自分の周囲には感染者から出たウイルスが増える、ということがどうして分からないのだろうか。

 テレビでも解説していたが、マスクをかけていても、ウイルスは吸い込むそうだ。むしろマスクの効果は、感染した人のくしゃみや咳、しゃべりによって出る唾液を抑え、唾液に含まれるウイルスが飛び散るのを防ぐことにあるという。つまり、自分がマスクさえしていれば完全に感染を予防できるという誤った「信仰」は捨てたほうがいい。だから、マスクの買い占めはやめましょうよ。

 マスク以上に気をつけるべき予防策は、できるだけ不特定多数の人間が集まるところに加わらないことや、不特定多数の人が利用する列車やトイレ、食堂などに入ったあとは、必ず手洗い、うがい、できればアルコール消毒をすることだという。

 石油ショックのころから、日本人は災いが起きるたびに、一種のパニックに陥って買い占めに走ってきた。しかし買い占めがむしろ流通を阻害し、結局はブーメランのように自分の生活に悪影響を及ぼすのだということを再認識すべきだと思う。

                                      (2020.2.3 風狂老人日記)