今朝、テレ朝の「羽鳥慎一モーニングショー」を見ていたら、ソウルで若い女性が韓国男性に暴行を受けた事件を長々と取り上げていた。日韓対立が最悪の状況になり、国民の関心が高まっているから、視聴率が稼げると判断したのだろう。テレビにはよく登場している辺真一氏も招いて、根掘り葉掘り解説していた。

  確かに、韓国国民がこの男性をどう見ているのか、韓国のマスコミがどう報じているのかなどさまざま取材を重ねて、多面的に、公平に論じているようだったが、私は、こうしたニュースを取り上げること自体がまさに、日韓の世論をミスリードすることに繋がると思っている。

 この男は酒に酔い、日本女性をナンパしようとしたが無視され、女性の髪を引っ張るなどの暴行をしたという。しかし、特別な反日感情が動機だったとは話していない。それをことさら日韓の対立と結びつけて取り上げることが、報道機関として危うい。

 日本でも、酔っぱらった男が女性に言い寄り、トラブルが起こることはよくあること。それが日本人と韓国人だったら、なんでも日韓関係に結び付けて報じるのか? まさにテレ朝の見識を疑う。今回のニュースをもし取り上げるとしても、淡々と、事実関係だけを報じればいいのだ。ほかに取り上げるべき題材は山ほどあるのだから。

 いわゆるテレビのワイドショーといわれる番組は、純粋にニュースを取り上げるというより、ニュースの背景や関連情報を膨らませて、視聴者の関心を引くように、つまり「面白おかしく」解説する性質が強すぎる。しかし、ニュースを土台としているのだから、自分たちが番組で発信している意味づけや方向が、世論形成に大きく影響していくことをしっかり意識すべきだ。

 バラエティーやドラマのように、視聴率が稼げるからといって、本来、取り上げる必要がないニュースをいたずらに膨らませてはいけない。もっと厳選した題材を、もっと見識ある姿勢で冷静に分析して提供すべきだと思う。                 (2019.8.27 風狂老人日記)