数日前、日本の季節の変化と蝉の鳴く時期について書いた。

 きょう仕事で近くのK市に行ったら、ミンミンゼミが鳴いていた。アブラゼミ、ニイニイゼミらしき声も聞こえている。実は自宅近くでは2~3日前から夕方に、ヒグラシが鳴いているのを確認している。残すのはツクツクボウシぐらいしか残っていない。もう蝉の種類で違っていた鳴く順番がなくなってしまい、同時期に鳴いているのだ。

 関東の梅雨明けが7月29日ごろだった。昨年より30日も遅く、平年より8日遅いというから、待ち望んでいた蝉たちがいっせいに地上にでてくるのは無理もないが、やはりこうした気候の変化が、生態系に少なからず影響を及ぼさないかと心配になる。

 「猿人」でも1億年前、「新人類」で20万年前といわれる「新参者」の人類に比べると、3~4億年の歴史をもつ昆虫は、生態学のヒエラルヒーの中で、底辺を支えてきた。主に植物を食べる虫を鳥類や爬虫類や両生類が食べ、それらを哺乳類が食べ、そして頂点の人間がその哺乳類を食べてきた。生態学的には蝉は多くの昆虫同様「食べられる」ことで、地球の自然サイクルのつながりを支えてきた。とくに蝉は何年も地中で幼虫として育ち、地上に出るのはわずか数週間。その間に相手を見つけ、子孫を残す受精を果たす。とは言っても、成虫の半分ほどが目的を果たさず死んでしまうのだという。そうした蝉の一生が、ここ数年の気候変化で、急激に忙しくなっているように見える。

 ほかにも調べれば、蝉だけではなく多くの昆虫の生態に影響が出ているのではないか。何年か前にはカエルなどの両生類が地球上から絶滅する危機がテレビ番組などで放送されていたが、たぶん両生類だけではなく、爬虫類にも、魚類にも、そうしたクライシスが忍び寄っているのではないか。つまり、それは生態学のヒエラルヒーが崩れつつあり、やがて人類にとって食べるものがなくなることを意味している。その主な原因は、やはり地球温暖化なのだろう。「地球温暖化など関係ない」と主張する学者や大統領もいるが、では何が原因なのか示してほしい。そんな無責任な態度が許されるのだろうか。

 「そんなこと分かっているよ、耳タコだよ。今更書くんじゃないよ」。テレビや新聞や本から知識を得ている多くのひとは思うに違いない。しかし、もう「思う」だけでは取り戻せない状況まできているのではないか。私も何か「行動」を起こさねば。「思う」だけではいけない。「思う」だけでは…。                                 (風狂老人日記 2019.8.1)