パリジェンヌへの道 ②きっかけ | Hamayanと猫 絵を描く暮らし

Hamayanと猫 絵を描く暮らし

猫と暮らすHamayanの制作の日々を綴ります。

  雑貨屋の澤子のところに立ち寄った。彼女は優しい言葉の持ち主なので、時間を見つけては顔を見に行く。その日もいつものようにおやつを手にドアをあける。突然彼女が言った。「しばらく旅行に行く気ない?」昔は一緒にフランス語を習っていたから、とうとう旅行に行く気になったのかと思った。「違う違う。夏生ちゃん知ってるでしょ?彼女がフランスに行きたいって言ってるの。美味しいものたくさん食べたいって。片瀬を誘えばって言っちゃった。片瀬と一緒だったら安心だし。」夏生ちゃんは知ってる。ずっと以前から名前と顔は。ワインバーを経営していて、愛犬の肖像画を注文してくれたこともある。さっぱりした性格の印象。でも、友達という程は知らない。今年度は中学三年生の息子もいるし、旅行は考えていなかった。ただ、母が元気なうちにもう一回行きたいなぁという気持ちは頭の隅にあった。最後に行ったのは、2年前のスペイン。「お金もないしなぁ」曖昧な返事をして、お店を後にした。

  旅先では私はあんまり眠らないし食べない。目に映る風景や人の姿に心を奪われて、自分の肉体を忘れる。10歳の息子と旅行した時でさえ、3日間、果物やパンしか食べさせず、とうとう彼はそろそろちゃんと食べたいと呟いた。朝は5時には外に出たくなる。同行者は迷惑被ることになる。その辺りも気をつかう。 でも、自分と全然違うことに興味を持つ人との付き合いも面白いということも分かってきたこの頃、ちょっと迷う。

  夕食のとき、「旅行に誘われたんだよね。」と話したら、母が「行ってくれば。」と即答。これには毎回驚く。私がいないと大変な目にあうのは母と旦那。中学生と高校生の男子がいる我が家。私がいないと、弁当や夕食の世話をしなければならない。思春期の彼等は扱いやすくはない。そういえば30年前、大学を休学してフランスに行きたいって言った時も、父は「行ってきなさい。お金は足りるか?」と理由も聞かなかった。私は三ヶ月も言えずに迷ったのに。
旦那も同じ返事。反対したら暴れるとでも思っているのかな?息子たちもふーん程度の反応。では、行く方向で夏生ちゃんに会ってみるか。

{EADB3C7C-75CC-42F4-AE45-B6892129A545}