書き出し小説 101〜110日目
101日目
この部屋の窓を開けた事はない。この窓は妖怪の世界と繋がっていると幼い頃に祖父に言われ続けてきたからだ。
102日目
なるべく人間関係を発生させない。それがこの仕事のコツだと先輩は言った。
103日目
自分で言うのもなんだが、僕は相当運がいい。誰に言っても信じてもらえないが、ここ1年近く赤信号で止まった事がない。
104日目
まだ地球が丸かった頃に、もっと旅をしておけばよかった。
105日目
退屈な毎日に彩りを与えるために、自分にひとつルールを課した。そのルールが何なのかは、誰にも言ってはいけない。
106日目
狐に呪われた事でこんなに生きるのが楽になるだなんて思ってもみなかった。
107日目
土偶が人生を変える。人生を嘆いている奴は本物の土偶を見たこともない奴ばかりだ。
108日目
逆張りの癖を身につけろと、師匠はそう言った。世界中の人が希望を見失っても勇者は決して絶望してはならない、と。
109日目
勝つか負けるかが重要なのではない。私と彼でそういう賭けをしたという事が重要なのだ。10年後の未来の為に。
110日目
何度か見返してみたが、山手線の車内モニターに表示された次の行き先はやっぱり自分の名前だった。
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