14.「二時」
『"午前二時。
草木も眠る丑三つ刻。
この時間は鬼門の結界が開き隠の気が強まるため、古来から魔物や悪霊が現世に現れやすい時間となっている。
そんな時間に、人知れず魔物と戦い平和を守り続けている戦士たちがいる。
七つの光で、闇夜を照らせ!
新番組、七色戦隊ニジレンジャー!!"
「どうすかね?この企画。」
「……ボツだな。」
「なんで!?」
「戦闘シーンどうすんだよ?全部真っ暗な夜のシーンにするのかよ?」
「あーあ、やっぱりだめか…。カッコいいと思ったんだけどなー。」
「カッコいいだけじゃヒーローはやっていけないさ。もう今日は終わりにして帰ろうぜ。そろそろ本当に丑三つ刻にまっちまうよ。」
「そうですね。続きはまた明日にしましょう。」
「はいお疲れ様ー。お先に失礼するよー。」
この業界だと深夜までの残業や徹夜の会議なんてことはざらにある。
だけど先輩はどんな状況でも必ず午前二時前にはあがって足早に退社してしまう。
そんな先輩のことが気になって、こっそり先輩の後をつけて見たのがすべての始まりだった。
そこで僕は、丑三つ刻に人知れず闇の者と戦い平和を守る戦士の存在を知った。』
「…というプロローグはどうでしょうか?」
「うん、ボツ!とりあえず今日はもう遅いから帰って寝ようか。」