• 海外報道:日本の原子力規制庁が敦賀2号再稼働に反対する結論
  • 中国の新原子力発電所2基の建設開始
  • プラウダ:ロシア、中南米に複数の原子力発電所を建設へ
  • 中国、世界初のトリウム溶融塩炉を目指す
  • ルイジアナ州とINLが提携し、先進原子力戦略を構築
  • ハンガリー、原子力発電所向けドナウ川水温規制を緩和へ
  • オラノ、ニジェール情勢の最新情報を発表
  • 韓国、核融合研究開発に1兆1,200億ウォンを計上
  • 台湾・馬鞍山1号機、廃炉に向け停止
  • 英国コールダーホール原子力発電所の8建屋の解体を計画
     

海外報道:日本の原子力規制庁が敦賀2号再稼働に反対する結論

日本の原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁は、敦賀原発2号機について、原子炉建屋地下の断層が重大なリスクであるとして、再稼働を認めない結論をまとめた。この結論は、2012年に導入された規制制度の下で初めてのものであり、原子炉の廃炉につながる可能性がある。

関連報道:

https://www.enerdata.net/publications/daily-energy-news/japan-rules-against-restarting-unit-2-tsuruga-nuclear-power-plant.html

 

中国の新原子力発電所2基の建設開始

福建省寧徳原子力発電所5号機と山東省石島湾原子力発電所1号機の両方で、ファースト・コンクリート打設が発表された。両発電所とも華龍一号が採用する。中国広核集団(CGN)は、寧徳5号機の一次系建屋のファースト・コンクリートが7/28午前10時58分に打設され、「華龍一号の主要建設の公式開始と寧徳原子力発電所プロジェクト第2期の建設の全面開始を示す」と発表した。

中国華能集団は、7/28に石島湾発電所1号機の一次系建屋にファースト・コンクリートを打設したと発表した。石島湾サイトには、2023年12月初旬に営業運転を開始した実証用高温ガス冷却炉ペブルベッドモジュール(HTR-PM)がすでに設置されている。中国華能は、石島湾に華龍一号原子炉4基を2期に分けて建設する計画で、総設備容量は480万kW。第1期の2基の建設は2029年に完了し、運開の予定。

寧徳5号機の工事が開始(画像:CGN)

石島湾1号機のファースト・コンクリート打設作業(写真:中国華能)

 

プラウダ:ロシア、中南米に複数の原子力発電所を建設へ

ロスアトム・ラテンアメリカ部門トップのイヴァナ・ディボワ氏によれば、現在、アルゼンチン、チリ、エルサルバドルを含む中南米の数カ国でロシアの原子炉を建設する可能性について積極的な検討が行われているという。ディボワ氏は、チリは環境に悪影響を与える多くの石炭火力発電所を早急に置き換える必要があると説明。エルサルバドルは核医学に大きな関心を示しており、国のエネルギーインフラを強化するために研究炉と原子力発電所を建設する可能性を検討している。アルゼンチンとは、いくつかの共同平和的原子力プロジェクトを実施するための交渉が進行中。2022年にロスアトムがブラジルのアングラ原子力発電所への2027年までの濃縮ウラン供給を落札。メキシコの原子力発電所についても同様の状況が見られる。さらに、近い将来、ブラジル政府は使用済核燃料の貯蔵と取り扱いの分野で協力を拡大するというロシアの提案を検討する予定である。

写真: クルスク原子力発電所( commons.wikimedia.org by Dmitriy 92, CC BY-SA 4.0)

 

中国、世界初のトリウム溶融塩炉を目指す

中国は、トリウムを燃料とする世界初の溶融塩炉(訳注:概念としては古くからあるが、実際に運転された溶融塩炉でトリウムを実装したものはない)を2025年までにゴビ砂漠に建設する計画だ。このプロジェクトは、トリウムがより豊富であることから、潜在的なウラン不足の懸念に対処するもので、冷却水を不要にすることで安全性の向上を目指している。

画像:iStock

 

ルイジアナ州とINLが提携し、先進原子力戦略を構築

ルイジアナ州は、アイダホ国立研究所(INL)のフロンティア・イニシアティブと協力し、同州の強力な化学・石油部門を活用した戦略的計画を策定することで、先進原子力エネルギーのリーダーになることを目指している。この計画には、クリーンエネルギーと経済競争力に焦点を当てた、マイクロ原子炉、原子力電池、小型モジュール炉(SMR)の導入が含まれる。

INL のリレーションシップ 担当マネージャーであるリチャード・ボードマン氏が、ルイジアナ州先進原子力エネルギー戦略フレームワーク発表会でパネル ディスカッションの司会を務めた。(画像:INL)

 

ハンガリー、原子力発電所向けドナウ川水温規制を緩和へ

ハンガリー・エネルギー省は、エネルギー供給を確保するため、パクシュ原子力発電所のドナウ川の水温制限を一定の条件下で超えることを認める方針だ。現行の規則では、ドナウ川が30℃を超えた場合、原発は冷却水の排出を停止しなければならない。同省によれば、「気候変動により、特に水位が低い夏には、気象条件がますます限界に達する可能性がある」という。

2023/5/9、ハンガリーのパクシュ原子力発電所の近くで、パクスIIの新建設現場の準備のため掘削機が作業中。ロイター/マートン・モナス/資料写真

 

オラノ、ニジェール情勢の最新情報を発表

オラノの収入はニジェール情勢の影響を受けており、物流上の問題によりウラン販売が引き続き妨げられている。しかし同グループは2024年の財務見通しを確認し、安定した収益とプラスのネット・キャッシュフローを目標としており、イモーラレン・プロジェクトの継続について政府と引き続き協議したいとしている。「2024年6月末時点で、当グループは開発ロードマップに沿っており、変化する現地の地政学的状況に関連してニジェールの鉱業活動に影響を及ぼしている状況の悪化に留意しつつ、顧客への納品義務を確実に果たしていく」とニコラ・マースCEOは7/26の同社の半期決算発表で述べた。

ニコラ・マースCEO (画像: Orano/Cyrille Dupont)

 

韓国、核融合研究開発に1兆1200億ウォンを計上

韓国科学技術情報通信部によると、韓国は核融合エネルギーのインフラ構築のための研究開発に10年間で1兆1200億ウォン(8億6600万米ドル、1250億円)を投資する計画である。「研究開発の重点を官民協力に移し、核融合のエコシステムを強化することで、核融合エネルギーを早期に獲得し、エネルギー覇権競争におけるリーダーシップを確保する」と李宗昊(イ・ジョンホ)長官は言う。

韓国の核融合炉KSTAR(韓国核融合エネルギー研究院(KFE)提供)

 

台湾・馬鞍山1号機、廃炉に向け停止

台湾の馬鞍山原子力発電所1号機(電気出力93万6000kW、PWR)は、台湾の原子力段階的廃止政策に従い、40年の運転認可失効により停止。廃止される予定。この閉鎖により、台湾で運転中の原子炉は1基のみとなる。馬鞍山1号は7/27に停止され、7/28に正式に廃止期間に入った。馬鞍山原子力発電所2号機(93万8000kW、PWR)は、現在台湾で唯一稼働中の原子炉となる。しかし、同原子炉の40年間の運転認可も2025/5/17に失効する予定である。2021年7月、国営の台湾電力公司(Taipower)は、原子能委員会に馬鞍山原子力発電所2基の閉鎖を申請した。現行法によれば、電力会社は発電停止の少なくとも3年前に廃止申請を提出しなければならない。

馬鞍山原子力発電所(画像:Taipower)

 

英国コールダーホール原子力発電所の8建屋の解体を計画

セラフィールド社は、2003年に閉鎖されたコールダーホール原子力発電所の「ブロワーハウス」建屋8棟を取り壊す許可を、英国の地元当局から得た。計画文書によると、「ブロワーハウスの維持管理は不要であり、お金の無駄である。また、避けられるはずの保守作業を行うことも、人々を危険にさらす」という。

コールダーホールのブロワーハウスは発電に使われた建屋だった(画像:BBC)