• ザポリージャ原子力発電所に関するIAEA緊急会合が招集される
  • 第1四半期、フランスの原子力発電量は11.6%増
  • ポーランドでの AP1000 導入による経済的メリットがハイライト
  • ルーマニアのSMR立地選定プロセスがIAEAの承認を取得
  • 南アフリカでHTMR-100 SMR推進を目指すパートナーシップが成立
  • 米GAO:NRCは原子力発電所の気候変動リスクを考慮すべき
  • アンフィールドがシュータリング・キャニオン製錬施設の再稼働を申請
  • 革新的なトリウムベース燃料の許認可と試験が進展
  • マックス・プランク研究所の核融合スピンオフが2170万ドルを調達
  • IAEA、キュラソーとスリランカの放射性物質回収を支援
     

ザポリージャ原子力発電所に関するIAEA緊急会合が招集される

IAEA(国際原子力機関)理事会は、ウクライナのザポリージャ原子力発電所に対するドローン攻撃について協議するため、4/11に緊急会合を予定している。この会合は、ウクライナとロシアからの要請によるもので、ウクライナとロシアは互いに攻撃の責任があると非難している。

2023/6/15、IAEA専門家ミッションの到着を前に、ザポリージャ原子力発電所近くの検問所で警備に立つロシア兵(ロイター/Alexander Ermochenko/ファイル)

2024/2/6、ウクライナのキーウで記者会見に出席するIAEAラファエル・グロッシ事務局長。ロイター/ヴァレンティン・オギレンコ/ファイル)

2024/3/4、IAEA理事会でのミハイル・ウリヤノフIAEAロシア代表、ロイター /Lisa Leutner/ ファイル

関連報道は極めて多数

 

第1四半期、フランスの原子力発電量は11.6%増

ロンドン証券取引所グループ(LSEG)によると、フランスの原子力発電量は第1四半期に前年同期比11.6%増加(訳注:4/2は13.4%増と報じていたが修正した模様)し、2021年以来の最高水準に達した。一方、LSEGとエナジー・チャーツによると、電力輸出は前年同期比500%増加し、フランスは2024年に過去最高の純電力輸出を記録する勢いである。

フランスの電力輸出は発電量の回復により2024年半ばに急増すると予想(画像:LSEG/エナジー・チャーツ)

 

ポーランドでの AP1000 導入による経済的メリットがハイライト

ウェスティングハウス製 AP1000型原子炉 6 基の建設は、ポーランドの GDP に 1,183 億ズウォティ (4兆5,600億円) 以上をもたらし、その後の運転では年間380億ズウォティ(1兆4,600億円)の GDP を生み出すことが、独立した調査で判明した。ポーランドは、加圧水型原子炉技術を利用して600~900万kWの原子力発電容量を構築することを目的として、新たな原子力開発への道筋を立てている。2020年に公表された最新のポーランド原子力計画スケジュールによると、建設は2026年に開始され、最初のユニットの稼働は2033年を目標としている。

ウェスティングハウスのパトリック・フラグマンCEOとマーク・ブレジンスキー米国大使はポーランドでの記者会見で新たな報告書について話し合った(画像:ワルシャワ米国大使館)

 

ルーマニアのSMR立地選定プロセスがIAEAの承認を取得

IAEA(国際原子力機関)の立地評価・安全設計レビュー(SEED)フォローアップミッションは、小型モジュール型原子炉の配備場所としてドイチェシュティを選択したことはIAEA安全基準を満たしていると結論づけた。フォローアップミッションの結論は、ルーマニア国営原子力発電会社(SNN社)と小型モジュール炉(SMR)プロジェクト会社であるロパワー・ニュークリアが発表した。このミッションは、火力発電所が置き換えられるドイチェシュティでの立地許可申請に先立ち、立地評価の次の段階に進む前に、IAEAの安全基準に照らしてプロセスを独自に評価するようSNNから要請されたもの。

NuScale SMR プラントの外観 (画像: NuScale)

 

南アフリカでHTMR-100 SMR推進を目指すパートナーシップが成立

教育・訓練コンサルのコヤ・キャピタル社は、南アフリカにおける90億ランド(730億円)のHTMR-100小型モジュラー原子炉(SMR)初号機の建設と資金調達の確保に向け、同原子炉の展開を目指すストラテック・グローバル社と協力するパートナーシップ契約を締結した。HTMR(High Temperature Modular Reactorの略)-100SMRはプレトリア社が開発したもので、10万kWの熱と3万5,000kWの電力を生成し、小型高温ガス炉となるはずだった南アフリカのペブルベッドモジュラー炉(PBMR)プログラムから派生した。黒鉛でコーティングされた球状ウラン炭酸化物三構造等方性(TRISO)燃料(ぺブル)を使用し、冷却剤としてヘリウムを使用する原子炉。

原子炉の断面図。その大部分は地下にあることになる(画像:ストラテック・グローバル)

 

米GAO:NRCは原子力発電所の気候変動リスクを考慮すべき

米国政府説明責任局(GAO)の新たな調査報告によると、NRC(原子力規制委員会)は原子力発電所のリスクを評価する際、気候変動を十分に考慮していないという。GAOは、NRCが許認可プロセスにおいて気候変動リスクを十分に考慮するよう勧告している。

(出典:GAO-24-106326)

 

アンフィールドがシュータリング・キャニオン製錬施設の再稼働を申請

アンフィールド・エナジー社は、米国ユタ州にあるシュータリング・キャニオン・ウラン製錬施設の操業再開計画を同州環境品質局に提出した。カナダ・ バンクーバーに本拠を置く同社は、1982年以来待機状態においてきた製錬施設の再開を2026年に目標にしていると述べた。この計画では、製錬施設の鉱石処理能力を日量750トンから1,000トンに増加し、年間ウラン生産能力を 100万ポンド (385 tU) から300万ポンド (1,154 tU) に増加すると述べられている。 シュータリング施設は、米国で許認可を受け、建設された従来型ウラン製錬施設3カ所の内の1つ。

シュータリング・キャニオン施設(画像・アンフィールド・リソーシズ)

 

革新的なトリウムベース燃料の許認可と試験が進展

アイダホ国立研究所(INL)が、特許取得済みのトリウムおよび濃縮度5%超低濃縮ウラン(HALEU)からなるANEEL燃料の加速照射試験と認証への取り組みの開始を発表した数日後、クリーン・コア・トリウム・エナジー社は、カナダの原子力規制当局の許認可申請前審査の第1段階を完了したと発表した。ANEEL (Advanced Nuclear Energy for Enriched Lifeの略)は、加圧重水炉および CANDU 原子炉で向けに開発された。 同社は、現在使用されている天然ウラン燃料バンドルと同じ外形寸法と構成設計を維持しながら、トリウムの「本質的に優れた」核、熱、物理的特性を活用することで、実証済みの既存の重水炉システムで大幅に改善された性能を提供できると述べている。原子炉に大幅な変更を加えることなく、現在の燃料バンドルを置き換えることができ、ライフサイクルの運転コストと廃棄物量を削減し、安全性と事故耐性を向上させ、結果として拡散抵抗性を高めることができると同社は主張している。

INLの改良型試験炉(ATR)前で撮影したクリーンコアの経営陣とINLプロジェクトチーム(画像:クリーンコア)

 

マックス・プランク研究所の核融合スピンオフが2170万ドルを調達

ドイツのマックス・プランク・プラズマ物理研究所からスピンオフしたプロキシマ・フュージョン社が、発電所建設のためのシード資金として2,170万ドルを調達した。同社の核融合へのアプローチは、準アイソダイナミック・ステラレータを使用する。

(画像:プロキシマ・フュージョン)

 

IAEA、キュラソーとスリランカの放射性物質回収を支援

IAEA(国際原子力機関)は、キュラソーが病院のコンクリートバンカーから134個のラジウム226(Ra-226)線源を回収するのを支援した。IAEAはまた、スリランカ原子力委員会が、Ra-226を含む114の使用済密封放射線源を回収するのを支援した。

キュラソーでは、IAEAの専門家が、コンテナからRa-226線源を取り出し、特性を調べ、ステンレス鋼のカプセルに入れる練習を含むデモンストレーションを通じて同国の能力構築を支援した。 (写真:IAEA)