• IAEA、日本の柏崎刈羽プラントにおける核セキュリティの改善を確認
  • フランス、第1四半期の原子力発電量は過去3年間で最高
  • 中国HTR-PM熱供給プロジェクトが始動
  • テラパワー、Natrium原子炉の建設申請を提出
  • ウクライナ内閣、フメリニツキー3、4号建設継続法案を支持
  • 米国のシェール生産者、小型原子炉の有望性に傾倒
  • DOEが石炭から原子力への転換に関するガイドを発行
  • 再開されたナミビア鉱山が商業生産に移行
  • ウラン採掘回避を堅持するニューメキシコ州、浄化を計画
  • ポッドキャスト: 放射性「廃棄物」がどう命を救い、宇宙船に動力を供給できるのか?
  • オークリッジの請負業者と労働団体がプロジェクト労働協約に署名
  • 米陸軍工兵隊、ペンシルベニア州に埋設されたドラム缶廃棄物の浄化を開始
     

IAEA、日本の柏崎刈羽プラントにおける核セキュリティの改善を確認

IAEA(国際原子力機関)によると、7基を有する日本の柏崎刈羽原子力発電所における物理的防護(PP)対策は、近年大幅に強化された。この所見は、東京電力が4月の内に同発電所7号機への燃料装荷を開始する計画を原子力規制当局に提出した際に明らかになった。IAEAの専門家チームが、東京電力の要請による柏崎刈羽発電所向け核セキュリティミッションを完了した。 3/25~4/2まで実施された9日間のミッションは、プラントにおけるPP措置の強化を評価し、必要に応じて運転事業者にさらなる助言を与えることが目的。5人からなるチームは、核物質防護条約改正および関連するIAEA核セキュリティ・ガイダンス文書に対するPP措置を評価および視察。チームはプラントを訪問し東電スタッフとも面会。 チームにはフィンランド、英国、米国の専門家とIAEA職員1名が含まれていた。チームは、施設管理者の核セキュリティ向上への取り組みを視察し、2018年にIAEAが柏崎刈羽サイト訪問を含む国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)フォローアップミッションを日本で実施して以来、原子力発電所の核物質防護システムのいくつかの分野で継続的に改善されていることを確認した。 改善のほとんどは完了しており、完了までに多大なリソースと時間を必要とする一部の改善は実装中または実装予定であると述べた。 チームは、さらなる改善のための推奨事項と提案を東京電力に提供した。

柏崎刈羽原発(画像:東電)

IAEAプレス:

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/iaea-completes-nuclear-security-mission-at-japans-kashiwazaki-kariwa-nuclear-power-station 

 

フランス、第1四半期の原子力発電量は過去3年間で最高

ロンドン証券取引所グループ(LSEG)によると、フランスの原子力発電量は第1四半期に前年同期比13.4%増加した。発電量は40億キロワット時(訳注:元記事は「400万キロワット時」となっているが、出典の単位は”Megawatt hours(メガワット時)“であり3桁読み違えている)わずかに超え、2021年以降の第1四半期としては最高となった。

(画像:LSEG)

 

中国HTR-PM熱供給プロジェクトが始動

中国華能集団有限公司は、同国山東省石島湾サイトにおける高温ガス炉ペブルベッドモジュール(HTR-PM)実証炉の原子力熱供給プロジェクトが、熱供給網に接続され、運転を開始したと発表した。このプロジェクトでは、HTR-PM の蒸気系統から抽出された高温蒸気を使用して熱交換器で水を加熱する。この高温水は自治体や発電所のエネルギーエリアの熱交換ステーションに流れ、二次熱交換の後に住宅暖房に使用される。熱供給パイプラインは 3/ 22に完成し、プロジェクトは3/ 27に熱供給網に接続された。中国華能は、このプロジェクトにより熱供給エリアは190,000㎡拡大し、1,850世帯にクリーンな暖房を提供できると述べた。暖房シーズンごとに3,700トンの石炭を節約でき、二酸化炭素排出量を 6,700トン削減できるという。

石島湾におけるHTR-PM実証プロジェクト(画像:中国華能)

 

テラパワー、Natrium原子炉の建設申請を提出

テラパワー社によると、同社のNatrium型原子炉実証プロジェクトの建設申請は、米国NRC(原子力規制委員会)に提出される初の商用先進原子炉の建設許可申請となる。Natrium炉技術では、濃縮度5%超低濃縮ウラン(HALEU)燃料を使用する電気出力34万5,000kWナトリウム冷却高速炉と、必要に応じて5.5時間以上システムの電気出力を50万kW まで高めることができる溶融塩ベースのエネルギー貯蔵システムを備えている。テラパワー社は、ワイオミング州ケメラーにある廃止された石炭施設の近くにナトリウム実証プラントを建設する計画だ。同社は申請前会合でNRCと緊密に連携しており、申請に自信を持っていると述べた。 同社によると、この実証プラントの設計により、非原子力部分の建設は今夏に開始されるが、原子力施設建設は申請が承認された後に開始されるという。実証プロジェクトが完成すれば、商用発電所としてフルに機能する。

テラパワーは3/29に建設許可申請を提出した(画像:テラパワー)

 

ウクライナ内閣、フメリニツキー3、4号建設継続法案を支持

4/2、ウクライナ閣議において、「フメリニツキー原子力発電所3及び4号機の位置、設計及び建設に関する」法案が承認された。これは、フメリニツキー原子力発電所ユニットの配置、設計、建設の法的根拠を確立する。法案はVVER-1000(ロシア型加圧水型軽水炉)原子炉ユニットの配置を規定しており、当該地域住民のリスクに対する社会的・経済的補償の額を決定するとともに、米国技術で製造される新しい核燃料ユニットの使用の可能性に関する法的要件を指定している。近日中に、この法案は議会に登録される予定。

(画像:エネルゴアトム)

 

米国のシェール生産者、小型原子炉の有望性に傾倒

パーミアン盆地での掘削作業用のクリーンで信頼できる潜在的な電力源として、小型原子炉が米国のシェール企業の関心を集めている。先進原子力スタートアップであるオクロ社のジェイコブ・デウィットCEOによると、同社は、ダイヤモンドバック・エナジー社に原子炉を供給することで予備合意に達し、他の業界企業とも同様の話し合いを進めている。

写真:2019/4/17、米国テキサス州ミッドランドにあるダイヤモンドバック・エナジー社の石油掘削施設をマイク・ペンス米副大統領(写真には写っていない)が視察した際に見られたポンプジャックの列 、ブルームバーグ

 

DOEが石炭から原子力への転換に関するガイドを発行

米国DOE(エネルギー省)は、石炭火力発電所から原子力発電所への切り替えに関心のある地域向けの情報ガイドを発表した。DOEの調査によると、石炭火力発電所から再利用可能な資産をベースとすることで、建設コストを35%も削減できる。

(画像:POWER Engineering)

 

再開されたナミビア鉱山が商業生産に移行

パラディン・エナジー社は、2018年にナミビアのランガー・ハインリッヒ・ウラン鉱山プロジェクトが操業停止されて以来、初めて同鉱山から商業生産を開始したと発表した。パラディンは、2022 年に鉱山の生産再開プロジェクトを立ち上げ、2024/1/20に初の鉱石が製錬プラントに供給された。同社はこのほど、「ウラン精鉱の生産とドラム詰め」が3/30に達成されたと発表。今後は、顧客への出荷に先立って、生産の増強と完成品在庫の構築に焦点が移ると同社は述べた。

操業再開したランガー・ハインリッヒからの初のドラム詰めウラン(画像:X/Paladin Energy)

 

ウラン採掘回避を堅持するニューメキシコ州、浄化を計画

ニューメキシコ州環境局は2024年、リスクの高い場所の特定も含め、ウラン浄化計画を策定する予定である。ニューメキシコ州はウラン採掘を禁止していないが、ニューメキシコ州公有地コミッショナーのステファニー・ガルシア・リチャード氏は、「私は着任後まもなく、州土地局はウラン採掘のためのリースを一切発行しないと決めた。ニューメキシコ市民と天然資源に害を及ぼす潜在的リスクは、それを検討することさえできないほど大きい」と言う。

2007年12月、ニューメキシコ州グランツ近郊、旧カー・マギー製錬所サイトの空き地にテイラー山を背景に立つ警告看板(写真:AP通信)

 

ポッドキャスト: 放射性「廃棄物」がどう命を救い、宇宙船に動力を供給できるのか?

ティム・ティンズリー教授は、英国のレガシー核物質から抽出された物質が、先駆的ながん治療や将来の宇宙ミッションの動力としてどのように使用されているかを概説し、長期処分計画でも、物質の現在価値および潜在的な将来の価値を考慮する必要があるかどうかも考察する 。

また、今回は、ブリュッセルで開催された初の原子力エネルギーサミットにおける指導者や政府高官の会合に関するレポートも含まれており、主催者のIAEAラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長、ベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相の発言も一部含まれている。他にも欧州委員会ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、そしてCOP29主催者のアゼルバイジャンのジェイフン・バイラモフ外務大臣も参加する。

 

オークリッジの請負業者と労働団体がプロジェクト労働協約に署名

米テネシー州にあるDOE(エネルギー省)オークリッジ環境管理事務所(OREM)の請負業者ユナイテッド・クリーンアップ・オークリッジ(UCOR)社は、北米建築労働組合(NABTU)とプロジェクト労働協約(PLA)を締結した。協約には3年間で20%の昇給と定着奨励金が含まれている。

OREM、UCOR、NABTU幹部ら(写真:米国原子力学会)

 

米陸軍工兵隊、ペンシルベニア州に埋設されたドラム缶廃棄物の浄化を開始

米国陸軍工兵隊(USACE)は、ペンシルベニア州の144エーカー(58万㎡)の土地に埋設された3万立方ヤード(23,000㎥)の放射性廃棄物を掘り返す6年5億ドルのプロジェクトを開始した。USACEは、55ガロン(208ℓ)ドラム缶に入った廃棄物をユタ州に送り、地下深くで処分する計画であるが、ドラム缶総数は分かっていない。

(画像:CBS NEWS)