浜ロンの引っ越し
引っ越しをした。
12年住んだ家を少しずつ片付け、少しずつ運んだ。ほとんどの物がなくなった時、何もない部屋を眺め引っ越して来た当時を思い出した。
それまでは運ぶ事に頭が一杯だったが、素の状態に戻って来ると急に込み上げてくるものがあった。まあ泣きゃしないんだけど。
その時手伝ってくれた人。たった二日で決めた何もない部屋に、メジャー片手に少しずつ物を置いて行った事。夜中に車で実家に行き、そーっと皆を起こさない様に泥棒の様に必要な物だけ運び込んだ事。テレビを買った。冷蔵庫を貰った。座椅子やカーテンやカーペットをメチャクチャ迷って決めた。森林浴のイメージで、茶に統一した。テーブルを買った。少なからず人が来た。本を書いた。生配信した。風呂で歌った。風呂で泣いた。風呂で叫んだ。
間違いなく38歳からの青春だった。
気兼ねなく自由に生きた日々だった。
大人にさせてくれた部屋だった。
各壁に挨拶し、感謝を告げた。陽当たり悪くて寒いけど最高だった。私という人間のような部屋だった。
間違いなく私の歴史の1ページになるであろう引っ越し。人は人生にどれだけターニングポイントがあるだろうか。それは小さな事でもよくて、私にとって大事なことならそれが彩りとなるだろう。
最後に窓から外を見た。顔を出して上下左右なんか見たりして。ふと右側に雨戸がある事に気付く。
………なに?この家、雨戸あったのか?
…じゃああの毎年寒い冬を毛布足しまくったり、ダウン着たりして寝たのは何だったんだ?
ふと引いてみると、わりかしキレイな雨戸が登場。
おい!んだこれ!
12年全く使ってねーぞ!
サボりやがって!
家賃、月1000円ずつ返せ!
だけど感謝している。有難う202。
一生忘れないぞ。