世界保健機関
WHOの業務地域。伝統医療についての方針・規制を定めるため、WHOはテクニカルガイドラインを出版し、また自然薬の評価規制作成している。
世界保健機関は2000年に「伝統医療の研究・評価の方法論の一般的ガイドライン(General Guidelines for Methodologies on Research and Evaluation of Traditional Medicine)において、補完・代替医療を「該当国の伝統に基づいており、かつ主流の医療制度に統合されていない医療技法」と定義している
たとえば欧州ではいくつかのハーブ療法(植物療法)は通常医療となっているが、米国では補完・代替医療とされている[7]。
アメリカ国立補完統合衛生センター
国立補完統合衛生センター (NCCIH) では、補完的健康アプローチ(補完医療)は、大きく天然物と心身療法という2つのサブグループに分けられるとしている。
- 天然物
- 心身療法
他に、催眠療法などの精神療法、ヒーリング・タッチ(手当て療法)などがある。
- その他
日本
林義人は、代替医療を全て分類しきることは困難であるが以下の4つのタイプに大まかに分類できるであろうと述べた
- 伝統医学
- 中国医学、漢方医学、韓医学[23]、アーユルヴェーダ(インド医学)、ユナニ医学(ギリシャ・アラビア医学)等、数百年以上の長きに渡り、それぞれの国家において多くの伝統医師により研究・継承されてきた歴史・伝統があって、奥深さや広がりを伴った体系を持っており、各国の国民の健康を長らく支えてきた実績のあるもの。近代以降、現代医学(近代医学、西洋近代医学、現代西洋医学)が前面に出てくるまでは、むしろこちらが主流であったもの。
- 民間療法
- 国家的な広がりまではなく、小集団によるもの。歴史があるものも、最近登場したものもある。アメリカで発祥したカイロプラクティック。アメリカでは国家資格として扱われており、 資格を持つ者は doctor of chiropractic と呼ばれる。、オステオパシー、大正時代に日本で発祥し、欧米で先に普及したレイキなど。
- 栄養にまつわる療法
- 食事療法の延長として、効果を期待するもの。特定の食事、食事法のこともあれば、食事成分のこともある。食事成分の場合、完全に同一成分の錠剤を摂取しても保険制度を利用すれば通常医療という位置づけである。
- 最先端治療法
- 現代医学の医師によって研究され、一部では用いられた例はあったとしても、その時点ではまだ大半の医師からは標準的な治療としては認知されていないもの。例えば、1990年の日本における腹腔鏡手術など。
ただし、日本では歴史的に見れば漢方医学が主流であり、現在でも一部の漢方薬が保険適応され、医学(現代医学)と共に用いられているので、漢方医学を代替医療に含めてしまうような欧米式の分類は日本の状況には馴染まない点があると指摘する人もいる]。
各国での状況
欧米の先進国において補完・代替医療の利用頻度が急速に増加している。1990年代以降に代替医療への関心が高まっており、さらに代替医療の科学的研究に大きく予算が配分され政策として実行されてきた。アメリカでは、アメリカ国立補完代替医療センター(NCCAM)で行われた病気の予防・治療を目的とした臨床試験の多くで期待した成果がなかったため、研究対象は代替医療から補完医療(補完的健康アプローチ)へ、研究目的も「病気の予防・治療」から「症状のマネジメント」へと大きく変わってきている。
実際に使用されている代替医療の種類はアメリカと日本ではかなり異なっている。例えば数回答可のアンケート調査の結果のそれぞれ上位3を見てみると、米国では1位がリラクセーション 16.3%、 2位 ハーブ 12.1 %、 3位 マッサージ 11.1%であり、日本では1位 サプリメント 42.0%、 2位 マッサージ 31.2 % 、 3位 リフレクソロジー 20.2 %の順になっている[いつ?][26]。
アメリカ合衆国
1993年、デービッド・アイゼンバーグ博士(ハーバード大学代替医学研究センター所長)はアメリカ合衆国国民の補完・代替医療の利用状況についての調査報告を発表した。この調査は、この研究センターが研究している16種類の補完・代替医療に関してのみを調査対象にしていた。 16種類に限定していたにもかかわらず、利用状況は医師らの予想をはるかに超えていた。
1990年時点で、これら16種類の補完・代替医療を受けたアメリカ国民は全国民の34%に達していた。補完・代替医療の機関(治療院、ルームなど)への外来回数はのべ4億2700万回に達していた。この数はかかりつけ開業医への3800万回を超えた。
この調査で、学歴が高い人、収入の多い人、知識人層など時代を先導してゆくとされる人たちほど、代替療法を評価し積極的に利用している、ということも明らかになった。保険負担が制限された予防医療や高度医療が必要になった場合医療保険改革法以前に存在した数千万人及ぶ無保険者が、高額な医療費を敬遠して比較的安価で済む補完・代替医療を利用する場合もあった。
1997年の調査では補完・代替医療への外来回数は6億2900万回になり、1990年の調査時のおよそ1.5倍に増加した。
研究と教育体制
1992年、国民の利用関心を背景としてアメリカ国立衛生研究所(NIH)にアメリカ国立補完代替医療センター(NCCAM)が設置された。
当初の年間予算は200万ドルであったが、現在では1億ドル以上の予算が割り当てられている。全米の医科大学・医学ラボなどでの代替医療研究を振り分け、政府予算も割り当てられている。2000年にはホワイトハウスに補完代替医療政策委員会が設置された。代替医療の教育について、全米の医学生が少なくともひとつの代替医療を並行して学べる体制を各医学部が備えていることが望ましいとして、国立衛生研究所では公式に推奨している。そのような代替医療教育体制は全米の医科大学の50%以上で既に実施されている。1998年の段階で、全米125医学校中75校が通常医療以外の講座・単位を持つようになっていた。医学生の側も80%余りが代替医療を身に着けたいとアンケートに答えている。
ジョージタウン大学は補完・代替医療教育において初めて正規課程(修士課程)を定めた学校であり、国立衛生研究所が目と鼻の先にあることもあり、多くの代替医学研究がされている。また、アリゾナ大学の医学教授アンドルー・ワイルにより現代医学による医療と補完・代替医療とをあわせた統合医療が教育実践されている。
アメリカ国立補完代替医療センターには莫大な予算が投じられ、病気の予防・治療を目的とした臨床試験が多く行われた。しかしそのほとんどは、良い結果を得ることができなかったため、国民やメディアから税金の無駄遣いとして厳しい批判を受けた。(参考:セラピューティック・タッチ)
これにより、2010年頃から国立補完代替医療センターの研究目的は、「代替医療」から通常医療を補う「補完医療」に大きく変更され、各種施術療法の総称として、補完代替医療ではなく、補完的健康アプローチを使うようになった。センターの名称は、2014年12月にアメリカ国立補完統合衛生センターに変更され、代替医療の「代替」を意味する「Alternative」が除かれた症状[35]のマネジメント」へと変わったことで、近年(2015年時点)では、各種施術療法における「症状のマネジメント」に関する有効性が証明されてきている[2]。
イギリス
1991年、イギリス保健省は医師が効用が医学研究者によって科学的に証明された補完・代替医療の場合は治療家を雇用することが保険適用できることにした。
ウェールズ公チャールズの案で、5か年計画で国家レベルでの代替医療の研究が進められている。
2004年3月、西洋伝統医学や中国医学による鍼灸とハーブ療法の治療について資格制度ができることになった。これは英国保健省とチャールズ皇太子のThe Prince of Wales's Foundation for Integrated Health が制度化に向けてすすめてきた[36]。
英国国立医療技術評価機構の診療ガイドラインでは、緊張性頭痛への適用に鍼灸が提案されている[37]。
しかしホメオパシーについては、2010年2月22日の庶民院科学技術委員会(House of Commons Science and Technology Committee)について「ホメオパシーはプラセボと同程度の価値しかなく国家が国民保健サービス(NHS)治癒するに値しないとの結論に委ねられた。
ドイツ
近代医学発展の主な舞台はドイツであるが、近代医学においては治療の分野の発展が最も遅れたため、ギリシャ・アラビア医学(ユナニ医学)を受けつぐヨーロッパの伝統医療や各種療法、医師免許を持たない治療者による医療も非常に大きな位置を占めてきた[1][43]。ナチスドイツの時代にハイルプラクティカー(独:Heilpraktiker)という自然療法、伝統療法を行うことができる国家資格が作られ[44]、現在もこの制度が保持されている。日本補完代替医療学会は、主要先進国では最も代替医療が活用されていると報告している[25]。
東アジア
日本、韓国、中国などでは正規の病院において、中国医学系伝統医学(東洋医学)による治療が行われており、漢方薬が処方されている。
日本
厚生労働省は、2012年から「統合医療」のあり方に関する検討会を開催している[50]。
具体例
日本で行われることがある代替医療・補完医療の具体例としては以下のようなものがある。日本では混合診療は認められていないため、保険適用外の療法は病院で行われない。
- ="薬草">薬草生薬、)を使った製品、ビタミン・ミネラルなどの[9]、プロバイオティクス[10]、栄養補助食品など。
- 鍼治療[11]
- 瞑想(仏教に由来するマインドフルネス瞑想、超越瞑想など)[12]
- マッサージ療法[13]
- 西洋・東洋の動作を用いた療法(フェルデンクライスメソッド、アレクサンダーテクニック、ピラティス、ロルフィング、トレガーアプローチ href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3" title="リラクセーション">リラクセーション法(呼吸法、誘導イメージ療法、漸進的筋弛緩法。身体の自然な弛緩反応を誘導するように設計されている。)[14]
- 脊椎マニピュレーション(カイロプラクター[15]、オステオパシーを行うオステオパシー医、ナチュロパシー[16]の療法家[17]、理学療法士、医師などのヘルスケアの専門家によって実践されている。)
- 中国の伝統的な動作法(導引。太極拳[18]や気功など、姿勢・動作と呼吸を調和させて行い、精神を集中させる。)
- 様々なスタイルのヨガ(姿勢、運動、呼吸法、瞑想を兼ね備えている。)[19]
- 鍼灸(国家資格としてはり師ときゅう師がある)
- 柔道整復術(国家資格として柔道整復師がある)
- 指圧、マッサージ(国家資格としてあん摩マッサージ指圧師がある)
- その他の東洋の各種伝統医学(アーユルヴェーダなど)
- オステオパシー(保険適用外)やカイロプラクティック(保険適用外)のような欧米発信の手技療法
- アロマセラピー(保険適用外)
- 各種療術、民間療法(保険適用外)
- 宗教的なヒーリング(保険適用外)
- ホメオパシー(保険適用外)
- [51]、また、日本で多くの病院の医師(臨床医)などが手元に置いて治療法の選択時に参考とする『今日の治療指針 -私はこう治療している-』などでも、処方例の中に漢方薬も挙げており、医学部で現代医学系の訓練を受けた医師も日常的に漢方薬を処方する例は近年増えており、日本ではいわば"通常医療"としての面も持っているので、これについてはやはり欧米風の単純な分類は馴染まない。
鳩山由紀夫首相は2010年1月29日の施政方針演説で「統合医療の積極的な推進の検討」を表明した。これをうけて厚生労働省は、統合医療への保険適用や資格制度の導入を視野に、2月5日に統合医療プロジェクトチームを発足させた。プロジェクトチームは統合医療の研究がさかんなアメリカの国立衛生研究所のジャンル分けを参考に、中国医学やアーユルヴェーダ、ユナニ医学、断食療法、瞑想、磁気療法、オゾン療法、気功を含んだ統合医療の日本国内での実態把握をはじめることにした注意点
一部のカルト集団が勧誘の手段として代替医療を行っている例もあるという[54]。
ホメオパシーなどの一部の代替医療の喧伝には類感呪術、感染呪術の手法が見られる場合があり[55]。、これらの手法に対する親和性の高い読者層をターゲットとした雑誌、書籍類(日本ではLOHASを採り上げる女性誌)において広く広告、喧伝が見られているという