逢坂 剛 牙をむく都会(上・下)
(上)現代調査研究所所長の岡坂神策は、ひとりでイベント企画からライターまでこなす、いわば「便利屋」だ。そんな彼のもとに、バーで出会った女・嶋瀬真純を介して「ハリウッド・クラシック映画祭」の企画請負依頼が大手広告代理店からきた。一方、新聞社の友人からも「スペイン内戦シンポジウム」への協力依頼があった。この二つの企画内容は得意だけに、仕事にも力が入る岡坂だったが…。ある日、阿久津という老人と出会い、思わぬトラブルに巻き込まれる。それは半世紀も昔、第二次大戦終戦直後のソ連の強制収容所に端を発し、真実ならば戦後史を覆す「密約」だった―。(下)「密約」が真実ならば―。戦後史を塗り替える日ソ間の重大疑惑に、岡坂神策は巻き込まれていく。「ハリウッド・クラシック映画祭」の企画発案者で大手広告代理店名誉顧問の白柳良明、政財界の要人・門前通泰、ハリウッドの影の大物・ゴールドスタイン。半世紀もの昔、彼らの間に何があったのか。封印された歴史に挑む岡坂の周囲にも、不穏な空気が流れ始めた…。ソ連の日本人強制収容所、スペイン内戦、そして現代の東京。現代史の闇に、仄かに浮かんだ「真実」とは一体何なのか。
逢坂 剛 遠ざかる祖国
欧州を奇妙な噂が駆け抜けた―日本軍、真珠湾奇襲!?泥沼化する第二次世界大戦。中立国ゆえに各国スパイの暗躍の場となったスペイン・マドリードで、枢軸国側と連合国側とに分かれ、愛し合ってしまった男と女。熾烈な諜報の世界を描き尽くす。
逢坂 剛 相棒に気おつけろ
「いやはや、とんでもない女と組んだものだ」ハッタリと出任せには俺も自信があるが、相方は一枚も二枚も上手。ヤクザの香典はパクるわ、地上げ屋の眼前でストリップショウを企むわ、欲深い奴らを手玉にとって涼しい顔。「四面堂遥」この女、タダモノではない・・・・・・。要領よし、逃げ足早し、正義感多少あり、腕力なし。世渡り上手の世間師コンビが大活躍。
逢坂 剛 情状鑑定人
情状鑑定は精神鑑定とは異質のものであり、本来刑の量定に資するために、情状酌量に関する証拠調べの段階で行われる。――家裁調査官・立花文代は、被告人・井原信三による幼女誘拐脅迫罪を担当し、大学医学部精神科の教授・祝田卓を訪ねた。家裁調査官と精神医学者の共同鑑定を裁判所が命じることは稀にしかないが、事件の性格上被告人の生い立ちに遡って問診を行う必要があった。過去にも井原信三は放火がらみの事件で女房を焼死させ保険金詐取に失敗していて、当時は心神耗弱状態という認定だった。共同鑑定が進む過程で信三と父母・息子の精神交流に精神科医の鋭いメスが入れられてゆく。心理試験、催眠面接の場面で予想を超えた真実が露わに!!
逢坂 剛 空白の研究
三和広告社員・深沢麻美が殺害された。犯人は会社の同僚であり、愛人でもあった池原新吾の妻・季子と断定された。しかし裁判での季子の自白を含む供述には不可解な点が多すぎた。弁護士は、季子が犯行時において心神喪失ないし心神耗弱の状態にあったと思料し、その事実を立証するために精神鑑定を請求して許可された。東央大学医学部教授・祝田卓は、鑑定人として季子の犯行時の空白の時間の謎を、各種の心理学的検査をおこなうことで埋めていく。《空白の研究》他4編
逢坂 剛 スペイン灼熱の午後
カメラマン・師岡弦は、失踪した父親・俊一郎を追い、恋人の由芽子とスペインへ旅立った。父親は昭和11年スペイン内戦勃発と同時に消息を絶った祖父・将介をさがしにいったらしい。将介は当時、通訳官として赴任しており、しかも内線に参加したというのだ。