私が働いている病院に併設されている施設には、施設長と呼ばれる階級の人間がいる。彼の仕事は、職員の管理だとされていたが、見た目には、誰も見ない書類を作成する以外には、居眠りかYouTube観賞をして過ごしている。希に、新規採用者の面接をするが、面接によって良い人材を選別することは不可能であることが科学的に証明されている。つまり、施設長とは、クソどうでもよい存在ということである。

 クソどうでも良い施設長という人間に支払われる給料は、清掃や施設利用者のケアという本当に役に立つ人材に支払われる報酬よりも高いことに繰り返し驚かされてきたが、世の中には、さらに驚愕の階級がある。インフルエンサーだ。

 インフルエンサーは、他人が作った美味しいものや素敵な建物を体験してSNSにアップすることで別の他人の欲望を煽る。すると、欲望を煽って頂いたことに周囲が感謝して、モノや金や称賛や尊敬をインフルエンサーに献上するのだ。

 クソどうでも良い施設長は、きちんと軽蔑されているが、同レベルで生産性が皆無でありながら、より多くのリソースを社会からかすめ取るクソどうでも良いインフルエンサーは、キラキラした眼差しを向けられて太陽のように輝いている。

 クソどうでも良い人がより稼げるシステムになっていることに驚きながら、クソどうでもよい油っぽいお菓子を食べ、また太ってしまうなあというクソどうでも良いことを考えている。