3月末の在庫水準をコントロールする方法 | "ナレッツェリア"

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震災や歴史的円高など相次ぐ危機に見舞われた2012年3月期を象徴する財務データのひとつが在庫だ。

震災後にサプライチェーンの断絶で、部品調達が遅れたり、タイ洪水で大幅減産を強いられた自動車大手は販売の挽回を狙って在庫を積み上げている。
"ナレッツェリア"-3月期在庫日経新聞の調査によると2011年12月期の売上高が3千億円以上だった上場製造業124社を対象に12月末の在庫額を集計した結果、対象企業全体の在庫額は1年前に比べ約2兆円(7%)増の30兆1015億円。

減少したのは全体の2割弱に当たる23社にとどまった。

一方、販売不振に苦しむ家電大手はテレビなどの大胆な在庫圧縮に動き出した。

2012年3月期末にむけて在庫政策は日本企業が抱える課題を鮮明に映し出している。


ひらめき電球家電の苦境を映すのが在庫を減らしている方の減少額ランキング1、2位のパナソニックとソニーだ。

ともに液晶テレビの販売が低迷。ソニーはテレビ事業の収益改善のため、販売シェアの拡大よりも採算を重視する戦略に転換。在庫額は前年から約1割減らしたと報道されている。

在庫を積み上げているのは日産、トヨタなど自動車大手だ。
増加額2位のコマツは、石炭や鉄鉱石の採掘に使う鉱山機械の生産を増やしている。

ところで適正在庫をマネジメントするとなると通常は【平均在庫水準】をターゲットにする。しかし、企業であれば、3月期末】の在庫水準をターゲットにしたいのも事実。

これを実現するには遅くとも12月から準備しなければ狙い通りの在庫水準を達成するのは難しいだろう。現状在庫水準、1月、2月、3月、4月の需要予測と調達リードタイムを商品(製品)データとしてそろえる必要がある。

この際に需要予測は平均誤差をも検討する必要があり、リードタイムも定数として扱うのは震災の教訓がいかせてはいない。

調達リードタイム確率変数なのだ!

これらを考慮し、【3月期末の目標在庫総額】と商品ごとの目標在庫日数を明らかにする必要がある。
需要予測最適化計算を実行するとシミュレーション可能になり、1月~3月の【発注量】をコントロールすることで目標まで誘導可能になる。

"ナレッツェリア"-ソルバー
"ナレッツェリア"-シミュレーション

■Excelのソルバーを利用すると200アイテムまでは自動計算してくれる。もしも数千~数万アイテムを対象にする場合には"Premium Solver Platforms"が必要になるが、15万円程度で入手可能だ。

手段は別にして、3月期末の在庫シミュレーションのような【特定時点の在庫水準】をシミュレーションするには、需要予測の誤差を相手にしなければならない。くわえて調達リードタイムが確率変動するものであることを忘れてはならない。

■流通業:もじどおり調達リードタイムは農産物やアパレルのような季節商品では先行して内示契約をだしたうえで短期のリードタイムが決まるだろう。

■製造業:生産リードタイムがまず変動する。加えて、海外生産や海外拠点までのリードタイムを考慮する必要がある。



このテーマは継続して取り扱うことにする。