現在、舞台の稽古の真っ最中である。

もとは小劇場の舞台から活動を始めた人間だ。
一番出まくっていた時期は年間に10本近くの作品に出演させていただいていた。
それが色々の巡り合わせやなんやらで、
気がつけばもう、2年も舞台での演技をしていなかった。
朗読劇やリーディングはあったけれど、
台本を離した状態でお芝居をするのは、2014年に阿部定を演じさせていただいた時以来、
実に2年半ぶりになる。
信じられない。

信じられないのはその間も有難いことにお仕事をいただき続けることが出来たからで、
これはもう関わってくださった方の全てに全身全霊でお礼を申し上げるしかない。
そのお仕事の全てが、今の稽古に繋がり、役に立っています。本当に。
本当にありがとうございます。


今回は、一人芝居でミュージカルをやることになった。
女性キャスト版と男性キャスト版に分かれており、それぞれ出演者が5人ずつ。
1回の公演で3名が出演。という趣向。
私の師匠であり親友であり天才音楽家の伊藤 靖浩氏が全作品の作曲を行い、
女性版では演出も担当している。


それぞれ、実在の人物を演じることになっている。
私は、70年代にほんの少し活躍し、すぐに消えて、35歳で不遇の生涯を終えたシンガーソングライター、
ジュディ・シルを演じる。

私にジュディを教えてくれた友人は、

「生きてる間にいいことがなんにもなかったひと」

と、ジュディのことを、言った。

本当にそうだった。


脚本家の黒澤たけるくんは真摯で、
殆ど資料のない、このシンガーソングライターを描くために、
海外にまで問い合わせをし、取材をしたらしい。
(このへん、終演したら詳しく書きますね)

彼女の人生を、
彼女が感じた痛みや喜びを、
彼女の何が美しいのかを、
黒澤くんは少ない資料の中から掬い上げ、編み上げてくれた。

そして伊藤さんはそこに壮絶に美しい曲をつけてくれた。
居並ぶ生演奏のミュージシャンの皆様は凄腕すぎて、私ごときで胸の貸し借りが出来るか不安になるほどだ。


とかなんとかグチャグチャ言っても幕は開く。
幕が開くから腹をくくれる。
この、えいやっ、と、奮い立たせるこの感じ、武者震い、
これ、舞台のとても好きなところであります。
きっと一生、好きなところだと思います。


明日は、どんな稽古になるだろう。
本番初日まで、あと少し。



写真は本番を迎える劇場、atelier kanon様のカレー。
無水カレーで、死ぬほど美味しい。毎日食べたい。どのくらい美味いかと言うと食べた瞬間に言語偏差値が15くらい下がる。うまい、美味しい、しか言えなくなる。座組みの半分くらいがハマっています。


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おやすみなさい。