手拍子をしていた

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現在OA中のドラマ
「刑事7人」(水曜9時、テレビ朝日)
に、準レギュラー、宮本あかり役で、出演させていただいています。


今年で3シーズンめを迎える刑事ドラマで、
現在8話まで進んでいて、明日で9話。
すごく硬派な作品で、私も毎週楽しみに観ています。




出演が決まったという話をマネージャーさんから聞いたのはたしか5月の初めのころだったと思う。


「高嶋政宏さんと絡む役です」



そう言われて、私の脳裏に浮かんで来たのは帝国劇場の画だった。

高校の頃、演劇部に所属していた私は、
どうしても色んな作品に触れたくて、観たくて、演劇に時間を使いたくて、
観劇のために、休日はよく都内まで出かけていた。
演劇部のOGでもあるコーチが出演される舞台はほぼ全て観に行っていたし、文学座、昴といった新劇と呼ばれる劇団の公演や朗読劇、
大学生の友人に勧められて小劇場もまあまあ観ていた。

なかでも特に圧倒されていたのが、
Les Misérablesに代表されるような、いわゆるグランドミュージカルだった。

迫力が違う、技術が違う、才能が違う、お金のかけ方が違う、全てが違う世界の出来事のようで、
でもそれだけにあまりにも惹かれて、だから私の演劇における最初の夢はミュージカル界で通用する女優、というものだった。

(ちなみにこの夢は、演劇サークルでいかれたゆかいな仲間と出会ってしまったことにより、大学に入って3ヶ月くらいで横に置いておかれることになる。)


グランドミュージカルの中でも特に衝撃的だったのが「エリザベート」だった。
私が観た時はエリザベートが一路真輝さん、
エリザベートに執着する死神、トートが内野聖陽さん、
そして、エリザベートを暗殺する謎の男にして作品の狂言回し、ルキーニを演じていたのが、高嶋政宏さんだった。


私は、もう、当時エリザベートを観ている最中、視覚的にも聴覚的にもなんかもうものすごい刺激で、高揚感、あの感じは多分一生忘れないと思うのだけど、ああなんかもう快楽がすごい、観てるもの全部データにして脳内のクラウドに永久保管できたらいいのに、そんで必要なとき取り出して観るし聴くし、とまあそこまでの綿密なことは考えていないにせよ、とにかくすごかった。えらい興奮を覚えたのである。

二幕目が始まったところでルキーニが歌うソロナンバー「キッチュ!」に合わせてずっと手拍子をしていた。煽って煽ってひとを食ったような姿を見せるルキーニに気持ちよく煽られていた観客のひとりだった。終演後、裕福そうな小母さまが、今日のステージはどんなんだった、明後日はキャストが違うから、誰それと誰それの絡みは相性いいのね、みたいな複数回参加ならではの見方をしているのを小耳に挟んで、これをもうあと何回観られるのか、と、本当にうらやましく思った。



「高嶋政宏さんと絡む役です。」


と聞かされたとき、この時のことがいっぺんに思い出された。



私は、座って手拍子をしていた、側だった。
ミュージカル女優に憧れて、いつの間にかその夢を忘れ、忘れたことさえ忘れ、それでもお芝居をどうにかこうにか続けて、30歳も過ぎて、
気がつけば、カメラの前で、かつて手拍子を送るだけしか出来なかった人と、台詞を交わしていた。



「刑事7人」の、私にとってのクランクインは、32歳の誕生日の日だった。

初めてお会いした高嶋さんに、高校のころエリザベートを観ていたと、「キッチュ!」に手拍子を送る観客であったとお伝えしたら、


「えー!本当に?!いやあ!!嬉しいなあ!
  ありがとう!!」


と仰って、かたく握手をして下さった。
ものすごい笑顔だった。


私自身は女優としてまだまだ未熟で、自信を持てるようなことは殆どないけれど、
高嶋さんのものすごい笑顔に出会ったとき、
あのとき帝劇の座席で抱いていた、女優になりたい、お芝居をやりたい、という想いを持ち続けて、諦めずにここまでやってこられた自分に、その日でぴったり32年、生きのびてきた自分に、誇りを持つことは、あってもいいんじゃないか、と、とても自然に思えた。
そして同時に、そうしてひとに何年越しにでも影響を与え続ける、俳優としての高嶋さんというひとのすごさを改めて感じたのでした。



「刑事7人」、
ハマカワにとっては、そんな憧れの大先輩の胸をお借りして、挑んだ作品です。
厚みのある、見応えのある、ドラマになっています。
是非、ご覧くださいませ。


第9話は明日、
9/6 21:00〜
テレビ朝日系にて。


どうぞよろしくお願いいたします。

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