自らの問題を解決するのに、ぜひお勧めしたいことがあります。それは他人の相談に乗ることです。
他人の相談に乗るととてもいいことがあります。
 私達は、いつも自らの問題で頭がいっぱいです。ですから、他人の問題解決を考えることで、ついつい失いかかっている客観性を取り戻すことができるのです。
 
 毎日自分の問題で悩み苦しんでいると、段々客観的かつ冷静に物事を見ることができなくなっていきます。(改行しました)
 その失われた客観的なものの見方や冷静さは、他人の問題を分析することで取り戻せるのです。
私はこれを数え切れないくらい経験してきました。

 また、他人の様々な問題の相談に乗ることで、自分が置かれている環境に感謝できるようになります。
 なぜなら、人が悩んでいる問題を自分が持っていないことで、自分がいかに恵まれているかを知らされるからです。

 私は昔から多くの人の相談に乗ってきました。
 今は亡き母が人の世話好きで、何の徳にもならなそうな他人の人生相談によく乗っていました。保険の外交をしていましたので、元々保険の営業のために会うはずだつたのが、保険の「ほ」の字の一言も言わないまま、人生相談に乗るのです。

 なぜだかその相談される現場である喫茶店やレストランに私も連れて行かれました。話し始めると、小学生だった私は、黙って相手を見つめていました。
 相談を持ち込んできた相手の方が、突然泣き出すことはしょっちゅうで、それを見て私は思うのです。
「大人って大変そうだなあ。このままずっと子供でいられたらいいなあ……大人になんかなりたくない!」
 
 でも、その不幸な相談話を聞きながら、子供ながらに自らの恵まれた環境に感謝している自分がいました。
 不思議なことに、その感謝の思いで、その後、勉強や親へのお手伝いに頑張れるようになっていったのです。
 もしかしたら、母はそれを狙ってわざわざ私を相談の席に連れていっていたのはないでしょうか。いや、そうに違いありません。