人間が不幸になる根源の一つ。それは物質主義に走ることです。現代、特に先進国は物質的に大変豊かになりました。人間の欲は恐ろしいもので、欲のままに生きると、豊かになればなるほど、更に豊かになりたくなります。
 物質主義そのものがよくないとは思っていません。確かに物質的余裕があれば、安定した心を持つことが容易になります。ただ、過度の物質主義に走ると、限りない欲望の追求が始まり、どんどんエスカレートしていくので、満足できず、どんどん不幸になっていきます。
 一方精神主義に走り過ぎるのも問題です。精神主義も過度に追求すると、現実社会に生きていることが、嫌になっていきます。特に資本主義社会で生きていますと、経済活動、即ちお金儲けが価値基準の中心となります。極端なケースでは、お金持ちが、そのお金の力を使って、名声、地位、権力を得る等、社会的に大きな影響力を持つようになります。
 心こそ大切である精神主義の人から見れば、それは汚れた社会であり、醜い人間に映るものです。そうなると、出家するか、究極的には自ら命を絶ち、あの世の世界に行きたくなることでしょう。
 私が幼かった頃、我が家、特に母は精神的に追い込まれていました。父の重い病気と失業、私と姉の病気。家計は母のわずかながらの内職に頼るしかないほどの貧乏のどん底。そんなことから、母は3回も自殺未遂を。それでも周りの人の応援で、ある時から、少しずつ物質的に豊かになっていったことから、母は精神的な落ち着きを取り戻しました。仕事と家庭に頑張り、決して経済的には豊かとは言えませんでしたが、質素にしていれば、家族4人でなんとか暮らしていけるようになりました。それからの母は、物質的余裕から、精神的余裕を得て、いつも太陽の如く、悠々と力強く輝いていました。お金はないのはよくわかっていましたが、家族が寄り添い支え合い、団結して乗り越えていこうとしていましたので、お互い精神的に深く深く繋がり、本当に幸せを感じる毎日でした。
 現実社会で人間が幸せに生きていくには、物質主義と精神主義のバランスが大切であることを子供ながらに学んだ気がします。

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