ディスクローズしない企業は見捨てられる


 企業経営におけるディスクロージャーとは、投資家や株主・債権者などの「ステークホルダー」の利益を保護するため、一般に対して広く経営状況、特に最新財務情報を公開することだ。よく言われるIR(Investor Relations)、つまり、投資家向けへの広報の一貫でもある。

私は企業への支援者、例えば、投資家、金融機関、取引先、顧客などの「ステークホルダー」に対して最も大事な活動は、ディスロージャーだと思っている。これは、思いつきでもなんでもなく、20年以上の日米アジアでの1000社を超える企業へのコンサルティングの経験からの結論だ。

 理由は簡単だ。

21世紀の「ベンチャー戦国時代」では、最新経営内容をディスクローズしない企業は、間違いなく見捨てられるからだ。

 言葉でどんなにいいことを発表しても、どんなに素晴らしい計画を立てても、数字、即ち最新の実績が悪ければ評価されないし、信用もされない。なんだかんだ言っても、数字がすべてで、数字は嘘を言わないからだ。

 企業によっては、ライブドアや西武グループのように数字すら誤魔化す企業もあるが、そんな企業は論外だ。どこからも支援されるのに値しない企業である。そんなことをしていたら、時間の問題で滅びる。ご存知のように、実際そうなってきている。

 結局、「企業は人であり、信用力」のみで成り立っているからだ。

 企業というものは、一度社員を雇ったり、外部から投資してもらったりしたら、もう「社会の公器」になる。「公器」になった以上、関係者、特に「ステークホルダー」に、会社の現状を徹底的にディスクローズするのが当たり前だ。

 その上で、知られて困ることは、まずしないことだ。逆に、ディスクローズするから、自己牽制機能が働き、公私混同も防止でき、公平公正に経営できるようになる。それは人間心理をついている。

 一番大事なことは、真実をありのままスピーディーにディスクローズすることだ。今問題になっているのは、隠したり、虚偽を発表したり、公表が遅かったりするからだ。ディスクローズする気がないなら、上場したり、上場を目指してはいけない。