「コーポレートガバナンス」を軽視すれば会社は一瞬にして滅びる時代
コーポレートガバナンスは、「企業統治」と訳され、企業
の内部牽制の仕組みや不正行為を防止する機能を指す。「法令遵守経営」と訳されているコンプライアンス
と同様、日本長期信用銀行、西武グループ、ライブドア等の不正取引・粉飾決算により、最近日本でもその重要性が認識されつつある。
元々、コーポレートガバナンスは早くから経済学でも扱われていた。
私も、テキサス大学経営大学院(ビジネス・スクール)で教えていた際、会社の経営陣(Management)とそのオーナー(株主)は、利害が違っている部分もあることを説いた「エージェンシー・セオリー」(Agency Theory)を使いながら説明していた。
会社経営において経営陣の最大の目的は、長期的に業績をよくし、利潤(利益)最大化を図ることである。しかし、雇用者、顧客、取引先、金融機関、株主等のあらゆる理解関係者、つまり「ステークホルダー」(stakeholders)と契約関係にあり、誰の利害を最優先させるかで争点となる。
これはとりもなおさず、「会社は誰のためのものか」の議論でもある。
私は、契約関係、また、実質的な観点から見て、「会社はステークホルダーのもの」と解釈するのが正しいと確信している。
しかし、また様々な主張もあるだろうが、「資本主義経済」における「株主資本主義」の論理から言えば、「会社は株主のもの」という考え方が欧米では一般的に受け入れられている。
従って、欧米では、株主のために、株主の代理として、コーポレートガバナンスを厳しく公正に実施していくことを、取締役の義務とされている。