日米融合経営とは?



 高度経済成長期に効果のあった終身雇用、年功序列に代表される日本的経営手法が今機能しなくなっている。一方「スピード経営」や成果主義を中心とする米国型経営手法が、効果を出し、日本でも段々注目を浴びてきた。米国企業が伸びている姿を見て、米国型経営手法、特に米国型人事管理システム導入のニーズが再度出てきている。

 ただ、20年近く米国にいて米国企業を内外から観察してきたものとして、指摘させて頂くと、米国企業が伸びている理由は、「日米融合経営」にあると見ている。

ちなみに「日米融合経営」とは、簡単に言うと、米国型経営手法と日本的経営手法の良いところを組み合わせた経営手法となる。つまり、米国の合理的なやり方と日本の人情的或いはファミリー的なやり方を融合させたものだ。

 よりよく「日米融合経営」を理解頂くために、次にその特徴を紹介する。


第一線の社員、つまり顧客や取引先などと直接接している社員にできるだけの権限と責任を持たせることで、迅速な顧客対応によるスピード経営を実現しようとする

中間管理職をなくし、組織のスリム化とプロフェッショナル化を推進する

社長やトップマネジメントのリーダーシップを重視し、団結力とスピード力を強化する

社内でのパーティーやイベントを頻繁に行うことなどで、社員を家族の一員のように扱い、社員にも自覚してもらうことによる忠誠心の強化を図る

年齢・性別・学歴よりも成果を重視した評価システムによって、昇進・昇給を決める

各社員に専門を追求させ、社員のプロフェッショナル化を推進する

新卒の新入社員の採用を減らし、各分野で経験と実績、つまり力のあるプロを社員として中途採用する

社内での研究会、トレーニング、セミナー、ビジネススクール、ユニバーシティ制度などを活発に行う

米国式社外取締役並びに執行役員制度を取り入れ、株主を代表する取締役・監査役と会社の業績の責任を負う社長並びに役員を立て分け、会社の業績評価を明確にする

IR活動を重視し、会社を理解してもらうようトップマネジメント並びに社員は努力する

社員は専門を持ったプロ(専門家)集団とするが、チームワークはもっと重視させる

意思決定においては、内容に応じてトップダウンとボトムアップを使い分け、いずれもスピーディーにできる体制を整える

社長を含め社内の誰とでも自由に意見・情報交換できるオープンコミュニケーションの雰囲気・体制を築く

● 定期的(1年に1回以上)に社員と上司の合意による目標を設定し、業績を評価する「目標管理制度」(MBO)を導入し、その結果を社員と上司間でしっかり話し合う