株主利益の適切な追求


米国の優良企業の意思決定はとにかく早い。

先日ある大手流通米国企業のトップに提携の話を持ち込んだところ、2つ返事で了解を頂いた。

経営会議や取締役会にかけなくて良いのかと聞くと、

「即決しないと競合他社と組まれるでしょうから。そうなると即決しなかった私は、取締役会や株主から最高経営責任者(CEO)として不適切との評価を得るでしょう」とのこと。

また、「ベンチャーラッシュ時代」において、意思決定基準のカギとなるのは、「株主利益の適切な追求」だ。

度が過ぎる株主利益の追求は、80年代の米国の企業が経験したように、バランスを欠いて結局は社員・顧客・取引先からの抵抗に遭い、会社を破滅させる原因になる。

一方、あまりに株主利益の追求が重視されていない日本企業の場合も問題である。その意味で過去の経験や知識が邪魔をする新経営環境においては、株主利益を重視する経営が、日本企業にとっての一つの重要な意思決定基準になると言えよう。

上場企業は、それを実践してこなかったツケとして、「村上ファンド」や外資系投資会社などからの買収ターゲットになったのだ。今、そのような厳しい現実と真っ向から戦かわなければならない。

資本主義経済というメカニズムを利用しながら、そのルールを無視してきたことによる「罰」であろう。「原因結果の法則」から当たり前のことだ。