「コーポレート・ベンチャー」による「ベンチャー戦国時代」必勝法


「時価総額主義」(株式の時価総額を高めることにより企業価値を上げる方針)経営は、米国同様今後日本でも更に取り入れられていくだろう。ただし、最終的には、短期ではなく、長期での「時価総額主義」だ。

このやり方で急成長したソフトバンクや楽天で、代表される数々のベンチャー企業は、その経営手法をいち早く取り入れ、注目を集めた。実際にこれから公開を目指す企業の経営者達は、「時価総額主義」経営を投資家からの最も大事な評価基準の一つとして、取り入れざるを得ない状況に追い込まれている。

 起業家や、インターネット関連会社をここ数年以内に起こした若手経営者達は、ほとんど躊躇なくこの経営手法を取り入れ始めている。

その潮流こそが、日本にベンチャーを起こしやすい気運や環境を作り、まさに「ベンチャーラッシュ時代」を生み出したと言っても過言ではないと思っている。そう言い切れるのも、20年間近く米国に住み「時価総額主義」経営を基盤としたベンチャー・エコノミーを目の当たりにしてきたからだ。そのような私自身の経験から、全く同じことが日本でも起き始めたことを体感している。

 先に挙げたソフトバンクや楽天のように、ベンチャー企業があっと言う間に急成長し、歴史と実績を持つ大企業や中堅企業を打ちのめす存在となり得ることは、今や日本でも周知の事実となった。そして、大企業化したソフトバンクや楽天は、今度は新生のベンチャー企業から追われる立場となっている。本格的な「ベンチャー戦国時代」の到来である。


 それでは、このベンチャー戦国時代における生き残りを賭けた必勝法は何か。皆さんご興味をお持ちと思われるので、私なりの分析ではあるが紹介したい。

 端的に言うと、本業を強化する新しい事業、つまり「コーポレート・ベンチャー」(新規事業)を次々立ち上げ、本業と新規事業の相乗効果を最大にしていくことだ。

この戦略を見事に導入・実践しているのが、イオン、オムロン、オリックス、京セラなどであろう。彼らは決して立ち止まらない。この激動の「ベンチャー戦国時代」に立ち止まってしまえば、それは即企業としての「死」を意味することをよく分かっているからだ。

 先に紹介したように、幸いにして、これからはベンチャー企業でも資金調達が容易になるため、新規事業に取り組み易くなる。逆に、そうしないと多くの同業他社が同じことをやる中で、間違いなく淘汰され、生き残れなくなってしまうだろう。

 このような「ベンチャー戦国時代」に突入しつつある我々にとって、今後は企業規模による優位性は益々なくなっていくだろう。逆に大きいことによるフットワークの悪さが「大企業病」につながり、ベンチャーへの取り組みや意思決定の遅れを生む。それがベンチャー企業と比べて不利な要素になっていく。

私はそのことを20年間の米国でのビジネス経験を通して検証してきた。

今のこの「ベンチャー戦国時代」に乗り遅れた企業は、21世紀に入った今や5年と生き残こることができなくなるであろう。

あなたの会社は大丈夫だろうか?