高い目標に挑戦し続ける



私は自分が才能や能力がないことを若くして悟りました。色々なことをやったことで思い知らされたと言った方が、正確なのでしょう。そのため、どこに行っても、まともに他人と競争していたら、いつも負け組になってしまうことは察知していました。私は悩みました。どうしたら、こんなにバカな自分でも、組織の中で生き延びていく方法がないかと。

それで、色々な方法を試みました。でも、すべて失敗しました。余計に落ち込むはめになりました。

そんな中、10年近くかけて、遂に自分なりの能力開発法を考え出したのです。その方法とは、実は極めて単純なのです。とても方法と呼ぶにはふさわしくないのかも知れません。とにかく達成したい夢(=目標)を掲げるのです。どんなにその時は不可能そう見えても、です。

 例えば高校生の時、中間・期末試験での成績は、毎回ほとんど学年最下位で、特に英語と国語は大の苦手で、赤点(100点満点中30点未満)以外とったことがありませんでした。

ところが、「国際経営コンサルタント」をしていたある人の影響で、まだその高校生の分際で突然、日本の大学を出たら渡米し、経営大学院(ビジネス・スクール)修士・博士課程で学ぶことを目標としたのでした。更に、米国にある、憧れの世界最大級の国際会計・経営コンサルティング会社で、10年間修行することも目標としました。

目的は、夢である「国際経営コンサルタント」として独立するためでした。当時それは、限りなく不可能な夢でした。なぜなら、私は頭が悪過ぎたのと、英語ができなさ過ぎたからでした。

そんなことで、私のことをよく知る人によっては、その夢の実現は、100%無理だと言い切られました。逆に無謀だから止めるよう説得される有様です。私はその時ほど悔しい思いをしたことはありませんでした。

言わば、「お前はバカだから、将来がない。よって、大それた夢なんか考えていないで、自分ができる範囲のことをしなさい!」というふうに、完全に、私という人間まで否定された気がしてなりませんでした。当時私はまだ高校生です。

「たとえ不可能そうであっても、夢ぐらい追ってもかまわないじゃなですか!」と、心では泣きながら叫んでいました。

結局、私は皆が諦めるよう言ったその夢を諦めず、どんなに不可能そうなでも、徹底的

に挑戦することに決めました。そして、達成できるまでやり続けることも決意したのです。たとえ死ぬまで達成できなくても、挑戦し続けただけでも、本望だと思ったのです。

ところが、結果的には、とても早く達成できてしまったのです。その時から、私は不可能なことへ挑戦するのが当たり前となりました。

逆に達成可能な目標は、私にとっては目標ではなく、目指す意味すらない作業なのです。非常に難しい目標でないと燃えないし、達成意欲すら出てこないのです。


私の能力開発法では、まずかなり無理して背伸びすることが大前提なのです。ちょっと、背伸びしたら届くようなことは、目標にしたくないのです。ギリギリで届くかどうかわからないぐらいが、私にとっては丁度いい目標なのです。

統計学者で品質管理の世界的権威、エドワード・デミング博士も次の言葉で励ましてくれました。

「目標は、難しければ難しいほどファイトが沸きます。そして、まともにやっても、目標は達成できないので、様々な工夫と知恵を縛ります。大変ではある一方、目標を達成するまでのプロセスを楽しんで下さい。そうすれば必ず成果は出ますから」

もうわかって頂いたと思いますが、私の能力開発法は、不可能に近い高い目標を設定し、諦めずに徹底して挑戦し続けることなのです。最初は不可能そうな高い目標に見えるのですが、挑戦し続ければ段々達成可能度も高まり、遂には達成できてしまうのです。これは、私だけではなく、誰でもやれる目標達成法だと確信します。ですから、私はよくいいます。

「絶対に成功する方法とは、成功するまで諦めずやり続けることだ」と。